HP「ジャック・ニコルソンの館」を立ち上げました。よかったら覗いてみてくださいネ♪
オレゴン魂
2008-03-30 Sun 14:45
roostercogburn.jpg
監督:スチュアート・ミラー
脚本:マーティン・ジュリアン
撮影:ハリー・ストラドリング・ジュニア
音楽:ローレンス・ローゼンタール
美術:プレストン・エイムズ
原題 : Rooster Cogburn
製作年 : 1975年
製作国 : アメリカ
出演:ジョン・ウェイン、キャサリン・ヘップバーン、アンソニー・ザーブ、リチャード・ジョーダン、ジョン・マッキンタイア


勇気ある追跡」(68)の続編。前作から8年後という設定です。あの愛すべきコグバーン保安官(ジョン・ウェイン)は健在でした(笑)。冒頭は容疑者相手の派手な銃撃シーン。今回もそのことで裁判所に呼ばれ、判事さんに叱られてました。なんと8年間で64人の容疑者を射殺したのですって!本人は「64人のうち死んだのは60人だ」と反論していますが(汗)。法に基き容疑者を逮捕できないコグバーンは時代遅れの保安官とされ、その任務を解かれてしまいます。はい、クビですね。

ちょうどその頃、無法者ホーク一家(リチャード・ジョーダン)による、ニトログリセリン強奪事件が起こります。判事は事件の犯人を生け捕りにすることを条件に、保安官への復職を持ちかけます。これに気をよくしたのか,踊りながら「彼女の体にペンキを塗った〜、腹に背中に あちこち塗った〜♪」と歌い始める姿には唖然呆然であります(笑)。即座に謝礼金と退職金の増額を要求する抜け目無さは以前のまま。

こうしてコグバーン保安官の犯人追跡の旅が始まりました。途中、犯人に父親を殺された伝道師のユーラ(キャサリン・ヘップバーン)とインディアンの少年ウルフが加わります。キャサリン・ペップバーンとジョン・ウェインの掛け合いは夫婦漫才を見ているようです。口が達者なユーラに、とことん叩きのめされる巨漢の保安官。何をやっても叱られ説教されます。「だらしのない怠け者」「汗とお酒でものすごく臭い!」とまで言われてしまう。さすがに傷ついたらしく「臭いとか愚かとは言われたくない」と抗議しておりました(笑)。

ユーラにとっては父親の敵討ち、保安官には犯人を追う、緊迫の旅なのに、なぜか珍道中。仲良く馬車に乗り、ピーナツをボリボリ食べながら会話を弾ませます。おふたりさん、いい雰囲気なのですよね〜。ところが不粋な保安官、唐突に「今、何歳だ?」「体重は?」なんて質問しちゃった(汗)。「失礼な人ね」とたしなめられても、どこふく風で反省なし。ますます饒舌になって、別れた妻の悪口を言い始める。よほど酷い目にあったのでしょうね。前作でも少女にさんざん愚痴ってましたから(笑)。ユーラの事は「恐い女だ、猛獣も逃げる」と陰口たたくし・・・トホホ。

2大スターの丁々発止のやりとりと絶妙の間合いが楽しい映画です。ジョン・ウェインはお茶目で、キャサリン・ヘップバーンは惚れ惚れするほど度胸がよい。筋書き云々よりも役者の個性を味わいたい!ビバビバ、ジョン・ウェイン
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ニュールンベルグ裁判
2008-03-28 Fri 12:08
nuremberg-1.jpg
監督: スタンリー・クレイマー
原作: アビー・マン
脚本: アビー・マン
撮影: アーネスト・ラズロ
音楽: アーネスト・ゴールド
製作国:アメリカ
製作年:1961年
出演: スペンサー・トレイシー、バート・ランカスター、リチャード・ウィドマーク 、モンゴメリー・クリフト、 マレーネ・ディートリッヒ


第二次世界大戦をヨーロッパで引き起こし敗れたのはドイツ、アジア・太平洋で引き起こし敗れたのは日本でした。ふたつの敗戦国に対し、連合国はニュルンベルグと東京で、それぞれ国際軍事裁判を開きました。

本作はドイツの司法関係者の裁判を題材とした3時間に及ぶ劇映画です。被告たちがナチ戦犯でないところが興味深いですね。検事の冒頭陳述によると「第三帝国の指導者の思想に奉じた者たち」とされています。具体的には断種法とホフマン事件に関わった人道に対する罪、すなわちC級戦犯として裁かれました。

映画ではいろいろな問題提起がなされています。戦争責任はナチスだけではなく、普通のドイツ人にもあるということが一つ。国民もヒトラーの意に沿って、自発的にユダヤ人の迫害や虐殺に、加担したのではないか、責任の所在を広く検討すべきだと・・・・。なぜホロコースト(ユダヤ人大虐殺)が起こったのか、なぜ起こりえたのか・・・その精神構造の解明が必要だと訴えています。「ナチス」や「親衛隊」の仕業で片付けてしまうのは無責任ですものね。指導者・アドルフ・ヒトラーの名において行動した罪、ナチスの犯罪を見逃した罪を、ドイツ国民が認めることが必要なのでしょう。

その一方で、戦勝国であれば敗戦国を裁くことが出来るのか、という問いかけがなされています。勝者は公平ではありえないと思いません?裁判はひそかな報復だったのではないでしょうか。。。第三帝国への仕返しは、ドイツ人自身によってなされるべきだったような気もします。

裁判の行方が注目される中、ソ連がチェコに侵略したという情報が入ります。これを受けアメリカは、ドイツ国民を味方につけるために、被告を無罪にするよう圧力をかけてきます。しかし判事は圧力に屈せず被告たちに有罪を言い渡します。ドイツは東西に分断され、国民は冷戦の悲劇を味わうことになりました。これがドイツ国民が受けた大きな罰でした。
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レベッカ
2008-03-25 Tue 10:01
rebecca.jpg監督:アルフレッド・ヒッチコック
製作:デイヴィッド・O・セルズニック
原作:ダフネ・デュ・モーリア
脚色:ロバート・E・シャーウッド、ジョーン・シンプソン
撮影:ジョージ・バーンズ
音楽:フランツ・ワックスマン
原題 : Rebecca
製作年 : 1940年 、製作国 : アメリカ
ローレンス・オリヴィエ、ジョーン・フォンテーン、 ジョージ・サンダース、ジュディス・アンダーソン 、ナイジェル・ブルース


物語はヒロイン(ジョーン・フォンテーン)が見た夢の回想に始まります。月明かりに浮かぶマンダレーの館。静寂につつまれた豪華な屋敷はどこか陰鬱で謎めいた佇まいです。この館の主人で妻を亡くした資産家マキシム(ローレンス・オリヴィエ)に、後妻として迎えられたヒロインの恐怖・・・・・

邸宅を切り盛りしているのは先妻・レベッカの嫁入りの時から屋敷に仕えているダンヴァー夫人。彼女はいまだにレベッカを心棒しており、新しい女主人を受け入れようとしません。館にレベッカの痕跡を残したままにし、しだいにヒロインを追い詰めていきます。

ヒッチコックはヒロインと観客の視線を一体化させるためのトリックを仕込んでいます。執事、会計士、姉夫婦らに裏がありそうな含みを持たせることによって、ヒロインと観客の心をゆさぶります。もしかしたら全員がグルになっての企み事があるのかもしれない・・・・。もしかしたらレベッカの亡霊がいるかもしれない・・・・・。もしかしたらレベッカは生きているのかもしれない・・・・・。もしかしたら企みの首謀者は夫マキシムかもしれない・・・・・。登場人物全員に怪しさを感じます。それともヒロインの被害妄想なのかしら?これぞサスペンスですね。

疑惑に満ちた展開、少しずつ明らかにされるレベッカの正体に興味と恐怖をかきたてられます。同時にマキシムの正体も気になるところ。悪人なのか善人なのか。ヒロインを愛しているのかそうでないのか。なぜ電撃的に結婚したのか、結婚の目的は何?優しくヒロインに接したかと思えば、次の瞬間には冷淡な態度をとる。夫婦の絆は強まっているのか、絶たれようとしているのか。

レベッカの話題に敏感でヒステリックな反応を示す夫マキシム。これをレベッカへの未練だと思わせるのがヒッチコック ・マジックなのでしょう。生前の彼女を知る人物は皆「レベッカは美しく、知性と優しさと誠実さを持つ女性だった」と言います。これを聞けば、マキシムも彼女を愛していたのだろうと思ってしまいます。ここがミソなのですよね〜。全ての疑惑は「レベッカは善き人だった」という前提から生じてくる。もし、レベッカの真実の姿がそうでなかったら、もし、夫マキシムがレベッカを憎んでいたとしたら・・・・・。

やがてマキシム自身から語られた真実は驚くべきものでした。周到に張られた伏線、サスペンスに十分な旨みが散在する妖気ただよう映画です。
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世界フィギュアスケート選手権2008男子
2008-03-23 Sun 11:03
buttle.jpg
ジェフリー・バトル
(カナダ)
【SP】
曲:「アディオス・ノニーノ」
Technical Elements 44.07
Presentation Score 38.03

【フリー】
曲:「アララトの聖母」より
Technical Elements 84.29
Presentation Score 78.78


私、スポーツの国際大会を観戦する際は、ナショナリズムに火をつけて日本選手を応援いたします(笑)。しかし、唯一の例外がフィギュアスケート男子で、国籍にこだわりません。品の良い、清らかなスケーティングを披露してくれるスケーターが好きです。力強さよりも優雅さをもった選手を、昔から応援してきました。さて、昨日は男子のフリーが行なわれましたね。深夜に放送されたライブの映像を、ドキドキしながら見ました。優勝したのはカナダのジェフリー・バトル。最終グループの最終滑走でした。4回転は飛ばなくても、全ての3回転ジャンプを美しく飛び、これに得意のスピンとステップで得点を重ねました。ほぼ、ノーミスの完璧な内容。ピークを過ぎたと思われていた選手の渾身の演技に号泣しました。

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ブライアン・ジュベール
(フランス)
【SP】
曲:「オール・フォー・ユー」
by セバスチャン・ダミアーニ
Technical Elements 41.14
Presentation Score 38.61

【フリー】
曲:「アポカリプティカ・セレクション」ほか
Technical Elements 74.11
Presentation Score 79.36


この選手はキアヌ・リーヴスそっくりの4回転ジャンパーです。その容姿に惹かれて応援してきましたが、今回は幻滅させられる場面がカメラに映し出されました。演技直前のウォーミングアップ時、水で口をゆすいだ後、その水をリンクに吐き捨てたのです。こんなシーンは初めて見ました!演技の途中にもマナーの悪さが出ていました。ジャンプを次々と決めていくうちに、勝利を確信したのか、ストレートラインステップに入る前に、客席を指差し「自分がNO1である」とアピールしたのです。そして難易度を下げたプログラムへの変更・・・・自分より後に滑るジェフリー・バトルを侮ったからでしょう。バトルには大技がない、彼より上位になるには4回転を一度入れておけばよいだろう・・・と。たしかに、実力からすれば、ジュベールが群を抜いているように思われました。しかし、勝利の女神が微笑んだのは、丁寧に誠実に優しく演技をしたジェフリー・バトルにでした。

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ジョニー・ウィア
(USA)
【SP】
曲:オペラ「ユノーナとアヴォーシ」より
編曲:スペトラーナ・ピクウス
Technical Elements 42.64
Presentation Score 38.15

【フリー】
曲:「ラヴ・イズ・ウォー」
Technical Elements 67.21
Presentation Score 73.84

いいですよね〜。美しいスケーティングにウットリします。音の捉え方が抜群です。トリノオリンピックではSPをトップで通過したものの、フリーが伸びずメダルを逃しました。ケガによる停滞を乗り越えて今季復活を遂げました。出だしの4回転が両足着氷になりましたが、果敢に4回転に挑戦してくれたことが嬉しいですね。好きな選手です♪

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高橋大輔
【SP】
曲:「白鳥の湖」
ヒップホップ・バージョン
Technical Elements 41.15
Presentation Score 39.25

【フリー】
曲:「ロミオ&ジュリエット」
by チャイコフスキー
Technical Elements 64.15
Presentation Score 76.56
減点 -1.00

演技を始める前の表情が、緊張で強張っているのを見て心配しました。出だしの4回転を決めたので、波にのるかと思ったのですが・・・・・。これが世界選手権なのですね。
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世界フィギュアスケート選手権2008
2008-03-21 Fri 22:02

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”世界フィギュアスケート選手権2008”の女子で、浅田真央ちゃんが優勝しましたね。トリプルアクセルでの転倒があったものの、驚異的な精神力で演技を続け、高得点をたたき出しました。表現力では他の選手を圧倒し、ジャンプの真央から魅せる真央へ変貌を遂げたことを印象付けました。歴代のオリンピック・チャンピョンには表現力豊かな選手が名を連ねていますね。真央は世界で一番、表現力があるとの評価を得れば、ジャンプの失敗があろうとも、高得点を得ることができます。これでますます、バンクーバー五輪が楽しみになりました。頑張れ、真央ちゃん!

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真央ちゃんの優勝の陰に隠れる形になっていますが、中野友加里選手も頑張りましたね。私は彼女が大好きです。ひたむきな演技を観ると涙が出てきます。自分の出来る事を確実にこなす姿に感動します。「私は小さい頃から才能があった訳ではない。努力と根性だけでやってきた」とインタビューに答える表情は、きりりと引き締まり、意思の強さが伝わってきます。的を射た受け答えに頭の良い人だなぁと感心もしております。

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SPは”ショパン幻想即興曲”の音をとらえた軽やかな舞でした。続くフリーではトリプルアクセルを決め、その後もノーミスで演技を終えました。会場のスタンディングオベーションに、胸が熱くなりました。ひとつひとつの技を丁寧にこなし、完成度を高めて基礎点への加点を狙う戦法。どれほどの練習を行なっているのでしょう。努力の人ですね。

mikianndou.jpg

残念だったのは、直前の練習で左足ふくろはぎを痛めた安藤選手。日本で応援してくれているファンの声援に応えたいと出場を決めたそうですね。演技の途中で棄権したことを涙ながらに詫びる姿に、もらい泣きしました。「謝ることなんてないんだよ〜。よく頑張ったね。ガッツをありがとう。」と声をかけてあげたい。

日本の三選手、それぞれのドラマに感動いたしました

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毒薬と老嬢
2008-03-21 Fri 13:22
arsenicanndooldlace.jpg
監督:フランク・キャプラ
原作戯曲:ジョセフ・ケッセルリング
脚色:ジュリアス・J・エプスタイン、フィル・G・エプステイン
撮影:ソル・ポリート
音楽:マックス・スタイナー
原題 : Arsenic and Old Lace
製作年 : 1944年
製作国 : アメリカ
出演:ケーリー・グラント、レイモンド・マッセイ、ジャック・カーソン 、ペーター・ローレ、プリシラ・レーン

冒頭の球場シーン。審判の「ストライク、バッターアウト!」の判定に端を発した乱闘で映画は幕を開けます。ちなみに、この場面、本編とは関係ありません(笑)。が、これから起こる狂乱を暗示しています。

これに続くシーンも笑いを誘います。劇評論家のモーティマー(ケーリー・グラント)が結婚届けを提出する瞬間を、新聞記者のカメラが狙います。だってね、モーティマーは「イケてる独身男」という本を書いた有名人だから。今まで結婚は欺瞞だと言い張ってきた独身主義者が、結婚届けの列に並ぶ滑稽さ(笑)。

モーティマーが結婚の報告のために向かった先は、ブルックリンの山の手の大邸宅。ここに住むエビイとマーサ姉妹は彼の叔母たちです。純粋な優しさと寛大な心を持った姉妹が実は、悪意のない(?)連続殺人鬼だったから、さあ大変!おまけに叔母たちと同居している従弟のテデイは、自分のことを大統領のテデイ・ローズヴェルトを思い込んでいる狂人。さらには刑務所を脱走した凶悪犯の兄ジョナサンとその共犯者までが転がり込んできます。ブルースター家は先祖代々、頭のおかしい人を排出輩出してきた家系だったのです。

この状況に右往左往するモーティマーが気の毒やら可笑しいやら・・・。天下の二枚目ケーリー・グラントの壊れっぷりは一見の価値ありです。狂気と正気の世界を行ったり来たりの大忙し。思うに精神世界は不安定で、一歩踏み外せば、狂気の世界がウェルカム♪しているのでしょう(笑)。人殺したちの物騒な話を、コメディにしてしまうフランク・キャプラのセンス、ドタバタという薬味を効かせながらのセリフのおもしろさに、ニタッとほくそ笑む私・・・・イヒヒ。

全編に漂う狂気の世界。登場人物たちは、クレイジーで浮世離れしています。中でも、テデイの狂人ぶりが群を抜いているかな・・・。階段は必ず「突撃〜」と絶叫しながら駆け上がります。そして高らかに、時を構わず吹くラッパの音が、近所迷惑などどこ吹く風とばかりに響きわたっている・・・・笑。

40年代に、これだけテンポのよいコメディ映画を作ったキャプラ監督の技量。サイレント的な動きとトーキーの愉快なセリフが融合した、ブラックユーモアの怪作です。
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甘い生活
2008-03-17 Mon 09:45
4933364310347.jpg監督:フェデリコ・フェリーニ
脚色:フェデリコ・フェリーニ、エンニオ・フライアーノ、トゥリオ・ピネッリ、ブルネッロ・ロンディ
撮影:オテロ・マルテリ
音楽:ニーノ・ロータ
原題 : La Dolce Vita
製作年 : 1960年
製作国 : イタリア
上映時間 174分
出演者:マルチェロ・マストロヤンニ、アニタ・エクバーグ、アヌーク・エーメ


観終えて一言、超難しい〜!なんと言えばいいのやら・・・・上流社会の甘い生活が逆説的に描かれています、裏の裏は表?という世界かなぁ・・・・。難解ではありますが、最初から最後まで飽きることなく、フェリーニ の世界に浸れました。不思議な魔力を持っている作品ですね。フェリーニ 監督の幸福論、いや、不幸論が映画を通して語られているような気がします。主人公のマルチェロ・ルビーニを演じているのは、マルチェロ・マストロヤンニ。ソフィア・ローレンと多く共演していますね。中でも「ひまわり」(1969)が有名です。カトリーヌ・ドヌーヴとの「ひきしお」(1969)も、うっすらと覚えてます。さて、内容はと言いますと、主人公の退廃的な生活の叙事詩です。以下に箇条書きしました。

☆ローマの大富豪の娘マッダレーナ(アヌーク・エーメ)とのアバンチュール
☆同棲中の恋人エンマの自殺未遂
☆ハリウッド女優との狂乱の夜
☆ローマ郊外の街で、聖母マリアの奇跡騒ぎに遭遇
☆父親との再会(心に闇を持っていそうな父親?)
☆友人スタイナーとの語らい、無理心中事件
☆上流階級のパーティーで繰り広げられる狂乱

これらの出来事へのマルチェロの反応も、本作品を難解なものにしている一因ではないかしら。一時的にしか、気持ちを動かさないのです。退廃的で空虚で、私には理解出来ない人間です。主人公を無機質に描くことによって、客観的に人生というものを説明したかったのでしょうか?

自殺したスタイナーの言葉が重いです。人から見れば、幸せそうな彼が「今のような安穏とした生活では、何もかもが完璧で欲がわかない。平和が恐い。その陰に地獄がありそうで・・・・」

幸福な人が抱く恐怖なのでしょうね。今の幸福が終わる日のことを考えて恐怖に駆られる・・・。もしかしたら、この幸福は逃げ去るかもしれないという恐怖。自分は幸福という錯覚に陥っているだけかもしれない。幸福とは、広がりのある概念であって、ある一点に焦点を当てれば、自分の望んでいたことがかなえられたとしても、自分の信念に照らし合わせてみると、幸福の到達点は見えてこない・・・・。訳がわからなくなったので、止めておきます(笑)。
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巴里のアメリカ人
2008-03-15 Sat 09:12
americaninparis.jpg
監督:ヴィンセント・ミネリ
製作:アーサー・フリード
原作:アラン・ジェイ・ラーナー
脚本:アラン・ジェイ・ラーナー
撮影:アルフレッド・ギルクス
音楽:ジョージ・ガーシュウィン
音楽監督:ジョニー・グリーン、ソール・チャップリン
原題:An American in Paris
製作年:1951年
製作国:アメリカ
出演:ジーン・ケリー、レスリー・キャロン、オスカー・レヴァント、ジョルジュ・ゲタリー 、ニナ・フォック


芸術の都パリ、画家にとっては学びの都。ジェリー(ジーン・ケリー)はアメリカからやってきた絵描きの卵です。パリへは修行のために来たはずが、ぐうたら生活を満喫中、友達は増殖中(笑)。米国人のピアニスト、アダム(オスカー・レヴァント)やフランス人の歌手アンリ(ジョルジュ・ゲタリ)らと楽しくやっております。芸術家の集まるモンマルトルに住み、時に近所の子供とタップダンスに興じることも・・・。気ままなパリ生活、貧乏だけれど明るいパリ生活、「笑い、歌い、世界中がハーモニー〜」とご満悦〜♪

そんなある日、ジェリーの絵を気に入った金持ち夫人ミロ(ニナ・フォック)が声をかけてきます。彼の絵を買い、画商や記者を紹介し、個展の手配まで・・・・どうやら、絵よりも彼をお気に召したご様子。夫人の趣味は若き画家さんの面倒をみることでした。

ミロの思惑を知ってか知らずか、ジェリーは相も変わらずの能天気な暮らしを続けます。カフェで出逢ったパリ娘リズ(レスリー・キャロン)に一目ぼれして強引にデート〜。約束をとりつけ、ハシャギ浮かれて踊ります。「雨に唄えば」(1952)でも有頂天になり、タイトル曲に合わせて、雨の中を踊るシーンがありましたね。ジーン・ケリーの天真爛漫さは大きな魅力です。彼の中から噴出す明るさが踊りの原動力なのでしょうか・・・・見る者に元気をくれるダンスナンバーの数々です。

デートを重ねて愛を深めるジェリーとリズでしたが、ふたりの交際には大きな障害がありました。ジェリーにはパトロンのミロ、そしてリズには婚約者がいました。しかもそれはジェリーの友達のアンリ。リズにとってアンリは命の恩人なのです。愛と恩の間で苦悩するリズ・・・・

この映画は1951年度のアカデミー作品賞をはじめ、8つの部門を受賞しました。作品賞は「欲望という名の電車」「陽のあたる場所」をおさえての受賞です。ダンスの振り付けと主役を務めたジーン・ケリーは特別賞を受けました。ラストの18分にも及ぶ幻想的なバレエシーンは圧巻!!台詞も歌もなく、ただ踊りだけで主人公の内面を描いています。バイタリティと切なさを、見事に踊り分けたジーン・ケリーに拍手です♪

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JAWS/ジョーズ
2008-03-13 Thu 14:15
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監督:スティーヴン・スピルバーグ
原作: ピーター・ベンチリー
脚色: ピーター・ベンチリー 、カール・ゴットリーブ
撮影:ビル・バトラー
SFX:ロバート・A・マッティ
音楽:ジョン・ウィリアムス
原題 : Jaws
製作年 : 1975年
製作国 : アメリカ
キャスト:ロイ・シャイダー 、 ロバート・ショウ、 リチャード・ドレイファス、 ロレイン・ゲイリー 、マーレイ・ハミルトン


JAWS/ジョーズとサタディー・ナイト・フィーバー(1977年)は、エキサイティングな映画が煌いていた70年代にあって、異質な光を放っていたように思います。大ヒットしましたよねぇ。堂々と商業主義に走った潔さが好きです(笑)。パニック映画「タワーリング・インフェルノ」(1974年)が持つスペクタクル感からは程遠く、サメに襲われるという原始的な恐怖をストレートに描いています。スピルバーグ監督の演出に恐い思いをさせられました^^;

映画の舞台はアメリカ東海岸に浮かぶ小さな島。夏になると、ビーチを求めて観光客が押し寄せるリゾート地です。そこに突然、人食い鮫が現れたことで海水浴客は、パニックの禍に陥ります。海面にヒレだけ出して泳ぐサメの不気味さが、ジョン・ウィリアムスの音楽によって助長され、観る側に背筋の凍るような恐怖心を植え付けます。海中に潜んでいて見えない怪物がヒタヒタと忍び寄る。下から人間を狙っているような、サメ視点のショットに、緊張感が高まります。私を狙ってる〜って(汗)。サメの全貌はわからず、ただ気配がする。そのサメが荒れ狂って人を襲う・・・惨事が起こった後の静寂。映画はこの繰り返しで進行します。

次々と犠牲者が出るに至って、地元警察署長(ロイ・シャイダー)、シャークハンター(ロバート・ショウ)、海洋学者(リチャード・ドレイファス)が、決死のサメ狩りに出航します。そうして、サメと人間との壮絶な格闘シーンが繰り広げられるのです。今までカラダの一部しか見ることがなかったサメの全貌が・・・・全長7メートルを超える、重さは3トンはあろうかという巨大魚の出現は衝撃的です。船を執拗に襲い、人を食いちぎろうと口を開ける様は、地獄の化け物としか思えません。まさにアドベンチャー・ホラー、スリラーです。この映画の影響でしょうか、いまだに海水浴に行くのは躊躇します(本当は紫外線がサメより恐いのですが・・・笑)。
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ビルマの竪琴(1956)
2008-03-11 Tue 14:12
burma-1.jpg監督:市川崑
製作:高木雅行
原作:竹山道雄
脚色:和田夏十
撮影:横山実
音楽:伊福部昭
美術:松山崇
製作国:日本
製作年:1956年
出演:三國連太郎(井上隊長)、浜村純(伊東軍曹)、安井昌二(水島上等兵)、内藤武敏(小林一等兵)、西村晃(馬場一等兵)

水島上等兵(安井昌二)の奏でる竪琴の音が、私の琴線に触れました。感傷的な作品かもしれませんが、この映画の持つ優しさと品位が心の深くまで響きます。戦争と美、対極にあるテーマが物語の中に混ざり合う芸術性豊かな作品だと思います。

1945年7月、日本軍の戦局は悪化の一途をたどっていました。国境の山脈を越えて、ビルマからタイへと敗走する井上隊長(三國連太郎)の部隊。その中にひとりの竪琴の名人、水島上等兵(安井昌二)がいました。彼の伴奏による「旅愁」の合唱。

   ふけゆく秋の夜 旅の空の
   わびしき思いに ひとり悩む
   恋しやふるさと なつかし父母
   夢路にたどるは さとの家路
   ふけゆく秋の夜 旅の空の
   わびしき思いに ひとり悩む

ビルマ戦線は熾烈を極めたそうですね。それを思うと兵士の歌声を聞いただけで涙が流れてきました。映画の中には、その時々の心情が音楽に託されています。村に立ち寄った際に歌った「ああ玉杯に花うけて」でまた涙。一校の寮歌を聞くと涙が出る、時代錯誤の私です(笑)。続く「埴生の宿」には英軍の兵士も歌を重ねてきます。停戦3日後のことでした。

井上隊は勧告に従い降伏し、ムドン捕虜収容所に向かいます。この時、日本軍の中には、投降を拒否し徹底抗戦の構えを見せる隊もありました。水島上等兵は三角山で抵抗を続ける部隊に降伏するよう説得しにいきます。しかし彼の説得は聞き入られず、イギリス軍の攻撃を受けた隊は全滅します。

ここからが水島上等兵の死者を弔う旅でした。三角山で負傷した彼は現地の僧に助けられます。傷が癒え、自分の隊へ戻ろうと、遠く離れたムドン捕虜収容所をめざす彼が、途中目にしたのは、野ざらし、雨ざらしのまま、山河に散らばっている日本軍の屍の山でした。明日はムドンという日、水島上等兵は修道女の賛美歌で送られる日本兵の葬儀を目撃します。墓石には「日本兵無名戦士の墓」と刻まれていました。これに衝撃を受けた彼は、ビルマで托鉢の旅を続けながら、死者を弔うことを決心します。姿も心も僧になって、葬られることもなく魂さえも故国に帰ることが出来ない兵士たちの屍を埋葬します。

僧侶になった水島上等兵と井上隊は「ムドンへ向かう橋の上」「英軍戦没勇士慰霊式典」「涅槃像」で出会いますが、言葉をかわすことはありませんでした。「涅槃像」の前で井上隊が合唱する「荒城の月」に、思わず伴奏した水島上等兵の琴の調べが哀しい・・・・。日本への帰国が許された隊員が水島へ届けと歌う、お背戸(せど)の お背戸の赤蜻蛉(あかとんぼ)〜「信田の藪」。そして最後に収容所の前で弾いた別れの曲「仰げ尊し」で涙がマックスに。

世の中の悲惨な事、不可解な苦悩に対し、どうして?と問うても答えはでない。水島上等兵は過去の人生を捨て、苦しみの多い世界に少しでも救いをもたらす者として生きることを選んだのです。精神の再生について深く考えさせられました。

PS:「ビルマの竪琴」は市川崑監督自身がリメイクした1985年作もありますね。どちらも素晴らしい作品ですが、私は1956年作の方に心を打たれました。
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