HP「ジャック・ニコルソンの館」を立ち上げました。よかったら覗いてみてくださいネ♪
ゼア・ウィル・ビー・ブラッド
2008-04-29 Tue 22:46
IMG_NEW.jpg
原題: There Will Be Blood
監督・脚本: ポール・トーマス・アンダーソン
原作: アプトン・シンクレア
撮影: ロバート・エルスウィット
音楽: ジョニー・グリーンウッド
美術: ジャック・フィスク
製作国: 2007年アメリカ映画
上映時間: 2時間38分
出演:ダニエル・デイ=ルイス、ポール・ダノ、ケビン・J・オコナー、キアラン・ハインズ、ディロン・フレイジャー、ラッセル・ハーバード、ランダル・カーバー


どことなく、西部劇っぽい感じがしたので観に行きました。監督のポール・トーマス・アンダーソンは1970年生まれ。ということは「ブギーナイツ」と「マグノリア」は20代の時の作品!両作品ともテーマがねぇ・・・・・笑。「パンチドランク・ラブ」も観ましたが断片的な記憶しかございません(汗)。これらと本作が同じ監督の手によるものとは思えない。あまりにもカラーが違いすぎます。主演のダニエル・デイ=ルイスはカメレオン俳優と称されていますけれど、監督も変幻自在に作風を変えてくるタイプなのでしょうかね。次回作が楽しみです♪

1998年・・・のクレジットで映画は始まります。ひとりの山師(ダニエル・デイ=ルイス)が一心不乱に何かを掘っている。荒い息遣いと鼻息。尋常ならざる気配に「異常」を感じます。彼には悲劇的な欠陥がありそうなのですが、その因については触れられていません。石油を掘り当て富を得るにつれ、次第に現実とかい離し、彼自身の世界へ閉じこもっていく石油王ダニエルの姿が、深くじっくりと描かれています。最初の部分で、ダニエルの異常な部分を示し、後の変化が当たり前のように思わせてしまう脚本が見事。

「金をためて人との関係を絶ちたい」「人を妬んで人の不幸を喜ぶ」と言うダニエルとは何者なのでしょうね。家族の愛を知らずに育ったのか、誰かにひどく裏切られたのか・・・・。息子として育てた者への仕打ち、弟を名乗った男への復讐に、その答えがあるように思われます。屈折した心を持つ男の成功が狂気を増大させ、周りの人間だけではなく、自分自身を攻撃してしまった・・・・悪いヤツの魂は、どこまでも罪深いものなのですね。魂の浄化を石油という黒い血で行なおうとして、結局は破滅した男の物語というところかなぁ。

ダニエルの宿敵として登場する伝道師のイーライ(ポール・ダノ)もまた、歪な人間です。根本的に相容れないダニエルと確執を重ねつつ、互いを利用しあう因縁が不気味な緊張感を生み出しています。成功に酔いしれ自分を預言者と思い込む欺瞞と傲慢。自己顕示欲の強さゆえの伝道活動だったのでしょうか。ラスト、偽預言者と罵られながらも必死にダニエルにすがる姿が憐れです。所詮は同じ穴のムジナ。

人の心の醜悪さを際立たせるが為のような映像も秀逸です。油井やぐらの爆発炎上は何かを暗示しているようなシーンでした。広大な荒野に突然巻き上がる炎と煙、爆音の凄まじさ。この事故をきっかけに、ダニエルはモンスター化したように思えます。彼の中で何かが弾けたのか。黒い煙幕は悪魔の雄たけびのようでした。傲慢、冷酷、虚勢、強欲の前方には破滅が待ち構えているのだと思い知らされる一作です。
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踊る大紐育
2008-04-26 Sat 17:15
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監督: ジーン・ケリー 、 スタンリー・ドーネン
製作: アーサー・フリード
原作戯曲:アドルフ・グリーン 、ベティ・カムデン
脚色:アドルフ・グリーン 、 ベティ・カムデン
撮影:ハロルド・ロッソン
音楽: レナード・バーンスタイン
原題 : On the Town
製作年 : 1949年 、製作国 : アメリカ
出演:ジーン・ケリー 、 フランク・シナトラ 、 ベティ・ギャレット、アン・ミラー 、ジュールス・マンシュイン


時刻は午前5時57分。マンハッタンのビルの谷間から昇った太陽。港に横付けされた一艘の船。午前6時のコールと同時に、水兵さんたちが勢いよく、船から飛び出してきます。ゲイビイ(ジーン・ケリー)、チップ(フランク・シナトラ)、オジイ(ジュールス・マンシュイン)の仲良しトリオも24時間の休暇をもらい、束の間のニューヨークライフを楽しむことに・・・・。

自由の女神像の前を起点に、タクシー、馬車、馬、自転車でぐるりと観光した3人組は、その後、地下鉄に乗り込みます。車内ポスターに写っている”6月のミス地下鉄”に、ゲイビイが一目ぼれして妄想し始めます(笑)。ポスターを盗んで逃げようと改札へ向かうと、そこにはなんと、ミス地下鉄のアイヴィ(ヴエラ=エラン)がいた!言葉を交わす事は出来たものの、彼女はすぐに立ち去ってしまいます。

ジーン・ケリーとフランク・シナトラ主演の楽しいミュージカルです。映画の公開当時、アメリカ国内外の人にとって、ニューヨーク行きは、夢のまた夢だったことでしょう。華やかな歌と踊りと名所の数々が、世界最大都市ニューヨークへと、観客をいざないます。自然史博物館、ジョージ・ワシントン橋、エンパイアステートビル、バッテリーパークなどなど・・・・。

これらニューヨーク、ニューヨークした背景に、ジーン・ケリーの振り付けによる躍動感あふれるダンスが、非常にマッチしています。ダンサーたちの身体能力の高さ!行け行けドンドンの爽快感です。ダンスはタップやモダンジャズ、さらには前衛的なバレエで魅せてくれます。歌と踊りの爆発的なエネルギーの中に人生賛歌を盛り込んでいるのかもしれませんね。

登場人物は皆、キュートな愛すべき人々。中でも、フランク・シナトラの愛嬌たっぷりの笑顔が可愛い♪男3人と女3人のニューヨークの休日。最後のドタバタ騒ぎ(警察とのカーチェイスも・・・笑)まで、エンジンはフル回転です。しかし、楽しい時間はあっという間に過ぎ・・・・海に戻れば、全ては夢の話・・・・眠らない街、ニューヨークで夜通し遊び、そして迎えた朝の6時でした。
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大日本人
2008-04-23 Wed 15:32
dainihonjin-1.jpg監督、企画: 松本人志
脚本: 松本人志 、高須光聖
撮影: 山本英夫
美術: 林田裕至、愛甲悦子
デザイン: 天明屋尚 (大日本人刺青デザイン)
編集: 上野聡一
音楽: テイ・トウワ、 川井憲次(スーパージャスティス音楽)
VFX監督: 瀬下寛之
音響効果: 柴崎憲治
製作年:2007
製作国:日本
出演: 松本人志 、竹内力、 UA 、神木隆之介、海原はるか、板尾創路、街田しおん


公開された昨年、この映画に対する世間の評価は散々なものでした。訳の分からない、ひとりよがりな映画という見方で一致していたように思います。そんな悪評を聞けば映画館まで行こうという気は失せますよね〜。で、WOWOWで放送されるのを待っていました。

世間を敵に回してしまった感のある本作品。気持ちを構えて見始めれば・・・・あれあれ?面白い、そんな〜、どうしましょ、可笑しい、ギャハハ〜・・・・と、始まって早々に、松本ワールドに引きこまれました。私はお笑いに関して間口の広いほうでありまして、お笑い番組大好き、アメリカンジョーク大好き、オジさまのダジャレ大好きな脳天気者です。だからでしょうか、この映画を存分に楽しめました。

でね、余りの面白さに2回ほど観たのですよ。でもブログに感想を書くかどうか迷いました。この映画を見た人は、くだらない映画だと思った人が多いでしょうし、見ていない人に面白さを伝えることは、私の拙い文章力ではムリ。ストーリーは、あってないようなものです。要は見る人の感性が刺激されるか否かによって捉え方が違ってくるでしょうね。

物語の主人公は大佐藤さん(松本人志)。職業は防衛庁から依頼されている怪獣退治。自分の体に電気を流して巨大化し怪獣と戦うのです。「大日本人」とは職業名で、世襲制、彼は6代目。そんな大佐藤さんが取材を受ける様子をドキュメンタリータッチで描きつつ、怪獣との対決シーンを挿入した映画です。

肩まで伸ばした髪に帽子をかぶった姿がかまやつひろし風な大佐藤さん(笑)。365日、持ち歩く折り畳み傘は「大きくなるもの」を意識してのこと。この趣向は食生活にも明らかで「増えるワカメちゃん」が大好物です。商店街の洋傘2割引きという看板が気にする庶民感覚がオチャメ。ただし、近所の人からは嫌われているらしく、家の壁には落書き、庭にはゴミが投げ込まれています。自宅での取材中も、石が投げ込まれて窓ガラスが破られますが、そこは大日本人!表情を変えることなく、たんたんと記者の質問に答えます。

全編を覆うナンセンスムードに、ジム・ジャームッシュの「ミステリー・トレイン」や「コーヒー&シガレット」に通じるユーモアを感じたのは私だけでしょうか・・・まぁ、ジムさんは怪獣なんて登場させませんけれど(笑)。
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用心棒
2008-04-20 Sun 12:28
yojinbou-1.jpg監督: 黒澤明
脚本: 黒澤明、菊島隆三
撮影: 宮川一夫
美術: 村木与四郎
振付: 金須宏
音楽: 佐藤勝
監督助手: 森谷司郎、出目昌伸、吉松安弘、和田嘉訓
照明: 石井長四郎
製作国:日本
公開年:1961
出演:三船敏郎、仲代達矢、東野英治郎、司葉子、山田五十鈴、加東大介、河津清三郎、志村喬


BSで観ましたですよ。この映画は2度目(初見は昨年)です。番組の始めと終わりに山本晋也監督による解説がありました。(それを参考に記事を書いています。)

観客を楽しませるために徹底的に面白い映画を作ることが黒澤監督の信条だそうですね。用心棒は61年のGWに東宝の目玉作として公開され、痛快娯楽映画として多くの観客を動員しました。黒澤監督はこの映画に望遠レンズを使用。動き回る俳優を大きく撮影することによって、動きをよりスピーディに見せています。これはパンフォーカスという手法で、初めて実践したのは市民ケーンの撮影監督グッレッグ・トーランドでした。

この映画の魅力のひとつは個性的な悪党たちにあります。黒澤監督は面白さを追求するあまり、時代設定を無視しています。凄腕の浪人・桑畑三十朗(三船敏郎)の敵役卯之助(仲代達矢)の身なりときたら・・・手には拳銃、首にはイギリス製のマフラーですものね(笑)。なんでも、仲代さんの首が長すぎるのを、監督が見咎めて(?)のことだとか。

しかし、殺陣に関してはリアリティにこだわったようです。それまでの、日本舞踊を元にしたチャンバラとは違う、本格的な殺陣。斬りつける際は、一太刀あびせた後に、すばやくもう一太刀あびせています。たしかに一度だけでは死にませんからね。三船の力強く無骨に見える太刀まわりは正確で、咄嗟の踏み込みなど、いとも簡単に行なってます。時代劇を変えたといわれるほどの見事な殺陣です。

冒頭、カメラは三船の背中を追い続けています。どこから来たのか、どこへ行こうとしているのか。この風来坊、水を飲むため立ち寄った農家で、荒れ果てた宿場のことを耳にします。好奇心から立ち寄ってみれば、のら犬が人の手首を咥えてうろついているような街でした。人影のない荒涼とした宿場で繁盛するは棺おけ屋だけ。ふたつのヤクザが抗争を続けた結果でした。このヤクザたちが滑稽でしてねぇ、ちょっと頭の足りない亥之吉(加藤大介)は、かなり異彩・奇彩を放っておりまする。ヤクザの親分の女房おりん(山田五十鈴)も毒のある役でしたね。ヤクザ同士の斬り合いの後ろで、棒を振り回しながら、ゲキをとばしてる(笑)。その他、お題目ばかり唱えている名主や口の悪い居酒屋の権爺(東野英治郎)など、特異なキャラたちが映画を盛り上げています。

ラストの見せ場、三十朗と卯之助の対決シーン。三十朗の腕が立つといえでも、飛び道具を持った卯之助にはかなわないだろうと思っていたら・・・・。出刃包丁を投げつけましたね。棺おけに居酒屋の権爺が入れたものでした。こうした伏線を忍ばせつつ、物語は進行していたのですね〜。見事な語り口に痛快な殺陣、そして役者の個性が光る作品です。
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フィクサー
2008-04-19 Sat 09:52
michaelclayton-1.jpg
監督・脚本: トニー・ギルロイ
製作総指揮: スティーブン・ソダーバーグ、アンソニー・ミンゲラ、ジョージ・クルーニー
製作: シドニー・ポラック、ジェームズ・A・ホルト、スティーブン・サミュエルズ
撮影: ロバート・エルスウィット
音楽: ジェームズ・ニュートン・ハワード
美術: ケビン・トンプソン
原題: Michael Clayton
製作国: 2007年アメリカ映画
出演:ジョージ・クルーニー、ティルダ・スウィントン、トム・ウィルキンソン、シドニー・ポラック


ジョージ兄貴の映画ですからねぇ、そりゃ観に行きますよ〜。「バットマン&ロビン Mr.フリーズの逆襲」以降の出演作は、ほとんど観ています♪(←それがどうした・・・笑)ジョージ・クルーニーはダンディでキザでニタニタしている役を演じることが多いですね。(*シリアナを除く)しかし本作では、辣腕とは言いがたい普通の弁護士マイケルとして登場します。彼はニューヨークの大手法律事務所で、フィクサー(もみ消し屋)として、不本意ながらも、地味な業務をたんたんとこなしていました。それがある日、巨大農薬会社に対する3000億円の集団訴訟に巻き込まれ・・・・・。

「巨大企業の悪」に単身立ち向かう者で思い浮かべたのは「インサイダー」(1999)のアル・パチーノです。唾を飛ばしながら、気合十分で立ち向かっていましたねぇ。見事に跳ね返されてしまいましたが(汗)。相撲でも野球でも、肩に力が入りすぎるといけないって言いますものね。あと、うだつのあがらない弁護士が正義に目覚めて法廷闘争を繰り広げた、ポール・ニューマンの「評決」も感動作品です。

彼らに比べるとマイケル(ジョージ・クルーニー)は、私たちの周りにいそうな、ごくごく一般的な社会人です。若い頃は明るい未来を夢見て精力的に仕事をこなしていたでしょうに、45歳をむかえた今、将来への希望が持てない閉塞感の中、流されるように生きている・・・・といったところかしら。おまけにサイドビジネスの失敗による借金をかかえ、離婚を経験し子供とは短い時間を過ごすだけ。老後の心配を何度も口にする冴えないオヤジさまです。そんなマイケルが最後にキレて、眠っていた弁護士魂を炸裂させるシーンは爽快!心の中で拍手しました。

監督は「ボーン・アイデンティティー」シリーズの脚本家のトニー・グルロイ。多様なストーリーの要素を発展させつつ、登場人物の心理を見事に描写しています。農薬会社の法務本部長を演じて、アカデミー賞の助演女優賞を獲得したティルダ・スウィントンが巧い!ヤナ女を体全体で表現していました。腰についた肉さえ憎々しかったです(笑)。悪党のくせに小心者、最後の悪あがきの見苦しさ!出番は少なかったですが、悪としての存在感は抜群で、助演女優賞に値する名演技でした。

物語の進行において、キーパーソンとなった良心の呵責に目覚めるチーフ弁護士のアーサー(トム・ウィルキンソン)のキャラも印象に残ります。自分が担当する企業の悪事の証拠を見つけ苦悩し、やがては精神に異常をきたしてしまう様は善悪の葛藤の結果でしょう。

見所として、法律事務所の共同経営者役として、シドニー・ポラックが出演していることも挙げておきます。俳優としてのキャリアもある人ですけれど、やはり監督としてのイメージの方が強いですよね。「追憶」「トッツィー」「愛と哀しみの果て」「ザ・ファーム/法律事務所」「サブリナ」など、そうそう「ザ・ヤクザ」なる映画も監督していました(汗)。よく出演したなぁと不思議だったのですが、スタッフリストを見ると、しっかりプロデューサーとしてお名前が〜(笑)

出演者の個性が楽しめる作品です^^;
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サイコ(1960)&サイコ(1998)
2008-04-17 Thu 16:53
ssycho1960.jpg
監督: アルフレッド・ヒッチコック
製作: アルフレッド・ヒッチコック
原作: ロバート・ブロック
脚本: ジョセフ・ステファノ
撮影: ジョン・L・ラッセル
音楽: バーナード・ハーマン
タイトルデザイン: ソウル・バス
製作国:アメリカ
製作年:1960年
出演:アンソニー・パーキンス、ジャネット・リー、ジョン・ギャヴィン、ヴェラ・マイルズ、マーティン・バルサム


psycho1998.jpg監督: ガス・ヴァン・サント
製作: ブライアン・グレイザー、ガス・ヴァン・サント
原作: ロバート・ブロック
脚本: ジョセフ・ステファノ
撮影: クリストファー・ドイル
編集: エイミー・E・ダドルストン
音楽: ダニー・エルフマン
オリジナル音楽: バーナード・ハーマン
製作国:アメリカ
製作年:1998年
出演: ヴィンス・ヴォーン、アン・ヘッシュ、ジュリアン・ムーア、ヴィゴ・モーテンセン、ウィリアム・H・メイシー


ヒッチコックの「サイコ」(1960)を観たのはかなり昔です。リメイクの1998年版は公開の翌年ぐらいに、スターチャンネルで観ました。先日、両作品をスターチャンネル様が同じ日の同じ時間帯に、2つのチャンネルに分けて(スタチャンは3つのチャンネルがあります)放送してくれました。なんと気の利いた企画なのでしょう(喜)。録画したので、オリジナルとリメイクを続けて観ることが出来ました。

1998年版はヒッチコックの完全リメイクです。セリフの一言一句、カメラワークをそのまま再現しています。相違点は白黒とカラーであること、時代設定が1960年と1998年であること、殺されるのが妹から姉になっていることだけです。完全リメイクと言えば、森田芳光監督の「椿三十郎」が話題になりました。こちらは時代も含め、黒澤監督の台本通りだそうですね。そうそう、「隠し砦の三悪人」が、もうすぐ封切られますね〜。主役を演じるのはジャニーズ事務所の「嵐」の松本くん。どうなんでしょ?オリジナルを見ていませんので、なんとも言いようがありませんけれど・・・・。

さて「サイコ」ついて。
時代を1998年に移してのリメイクは、ヒッチコックの台本への敬意から・・・かしらん。時は流れても、ホラー映画の金字塔ですものね。1998年版でノーマンを演じているのは、今やハリウッドを代表する喜劇俳優となったヴィンス・ヴォーン。私は彼の大ファンですが、この映画を観た当時は名前すら知りませんでした。前年に公開された「ジュラシック・パーク」に出演していたらしいのですが、記憶にありません(汗)。共演しているアン・ヘッシュ、ジュリアン・ムーア、ヴィゴ・モーテンセン、ウィリアム・H・メイシーらは他の作品で目にしていたのですが・・・。そうそうたる役者陣が脇をかためています。しかし、リメイク版の評判は良くなかったとか(汗)。

この映画はロバート・ブロックの小説が原作。これは実際に起こった殺人事件をもとに書かれたそうです。映画が製作された3年前、女性2人を殺したエド・ゲインという殺人鬼がノーマンのモデルです。彼は犠牲者たちの頭をスタンドに加工し、母親の死体といっしょに長年暮らしていました。映画のノーマンは鳥の剥製をつくり、母親の死体をミイラにするといった異常な行動をとっていましたが、これは実在の殺人者の行動をヒントにしたということです。恐い!恐い!恐い!

恐怖を盛り上げる絶妙の手腕が随所に発揮されている本作品。現金を盗み郊外へと車を走らせるマリオンの不安が観客へ伝わるよう、彼女の視線と観客の視線を一体化させていますね。犯罪者はマリオンで、正義は警官にあるはずなのに、サングラスの警官が怪しい殺人者に見えてくるのです。有名なシャワーシーンでも、カメラはマリオンから見た殺人者を映しています。これによって観客は自分が切りつけられているような錯覚に陥ります。さらにはバイオリンのキィキィキィという音が恐怖を引き立てています。

最初から最後まで、あの手この手を使って、観客をひき付け怯えさせるヒッチコック。惚れ惚れするような手際の良さです。
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つぐない
2008-04-15 Tue 10:02
atonement.jpg原題: Atonement
監督: ジョー・ライト
脚本: クリストファー・ハンプトン
製作総指揮・原作: イアン・マキューアン
撮影: シーマス・マクガービー
音楽: ダリオ・マリアネッリ
美術: サラ・グリーンウッド
製作年:2007年
製作国:イギリス
出演: キーラ・ナイトレイ、ジェームズ・マカボイ、シアーシャ・ローナン、ロモーラ・ガライ、バネッサ・レッドグレイブ、ブレンダ・ブレッシン、パトリック・ケネディ、ハリエット・ウォルター、ベネディクト・カンバーバッチ、ジュノー・テンプル、ジーナ・マッキー、ジェレミー・レニエ

つぐない公式HP
イギリスの作家イアン・マキューアンのベストセラー「贖罪」がジョー・ライト監督によって哀しくも美しい映像作品になりました。本年度アカデミー賞7部門にノミネートされた話題作。「プライドと偏見」と同様、クラシカルな上品さに包まれた映画です。

1935年、イギリスがドイツへ宣戦布告をおこなう数年前。イングランド郊外の屋敷には、芽生えたばかりの愛に戸惑う男女の姿がありました。政府官僚の長女に生まれた美しいセシーリア(キーラ・ナイトレイ)と屋敷の使用人の息子ロビー(ジェームズ・マカボイ)。身分の違いはあるものの、勉学に励むロビーには豊かな未来が待っていそうで、ふたりの行く末は明るいものに見えました。ところが・・・・。

ふたりを引き裂いたのはセシーリアの妹ブライオニーの嘘。作家志望の13才のブライオニーは想像力豊かな少女です。姉を想う気持ちとロビーへの恋慕が妄想を生み、それが悲劇の種となりました。その種は戦争という不幸を養分に、最悪の方向へと育ってしまったのです。なぜ、妄想するに至ったのか、ジョー・ライト監督は丁寧にカメラに映しています。ひとつの出来事を大人の視点と少女の視点、両方から描くことによって、捉え方の違いを伝えています。幼い思考回路では大人の恋愛は理解できなかったのでしょうね。

この映画は戦前戦中における登場人物の変化を、くっきりと描き分けています。時おり回想として両パートを交錯させ、繋がりをもたせる手法が巧みです。無実の罪で投獄され最激戦地へと出征させられたロビー。ダンケルクからの撤退シーンは、戦争映画かと思わせるほどのスケールです。地獄の様相を呈した街を、愛する人が囁いた「戻ってきて、わたしのところへ」という言葉を頼りに彷徨う姿に胸がつまります。

ラスト、老年期に達したブライオニーの告白は驚くべきものでした。作家として成功した彼女が、自分の犯した罪へのつぐないとして書いた小説「つぐない」の結末は、真実ではないと・・・・。そこには小説家としての贖罪の仕方がありました。ただ、どうなんでしょう?嘘が招いた悲劇を嘘で終わらせるブライオニーのやり方には疑問を感じます。それが小説家という稼業なのかなぁ・・・・・。

エンドロールで流れる音楽を聞きながら、その余韻にひたれる良質な映画です。はい、とても結構なお手前でした♪
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荒野の1ドル銀貨
2008-04-12 Sat 19:08
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監督;カルヴィン・J・パジェット
脚本:ジョージ・フィンレー
撮影:トニー・ドライ
音楽:ジャンニ・フェリオ
原題 : Un Dollaro Bucato
製作年 : 1965年
製作国 : イタリア フランス
出演:ジュリアーノ・ジェンマ、イヴリン・スチュワート、 ピーター・クロス、ジュゼッペ・アドバッティ


私の映画ライフの始まりは、マカロニ・ウエスタンでした。(あまり言いたくないのですが・恥)それもジュリアーノ・ジェンマ。当時、マカロニ・ウエスタンというジャンルは低く見られていました。(セルジオ・レオーネ監督とクリント・イーストウッドのコンビは別格でしたよ)しかし、中学生だった私や友人は、世間の評価など気にすることなく、ジュリアーノ・ジェンマに夢中になりました。堂々とミーハーでいることができた年頃です(笑)。ジュリアーノ・ジェンマ熱は一過性のもので、ほんの数ヶ月後には冷めましたけれど。次なるマイ・ブームはウディ・アレン。「やっぱ、ウディ・アレンが最高よね♪」などと、知ったような口をたたくようになりました(汗)。ジュリアーノ・ジェンマを好きになること、ウディ・アレンを語ること・・・青春です♪

懐かしの「荒野の1ドル銀貨」がBSで放送されました。私がマカロニ・ウエスタンを観ていたのは中学1年生の頃です。それ以降は、まったく観ておりませんので、ストーリーは忘れていました。マカロニ・ウエスタンは、その名が示す通りイタリア語の西部劇。違和感あり!ですよね〜。「ボンジョール」だの「チャオ」と挨拶する保安官とカウボーイですよ(笑)。「あら〜どうしましょ」と思いながら観ていると、次第に想い出がボロボロ湧き出してきて、映画の内容が頭に入らなくなりました・・・・○○ちゃんはジュリアーノ・ジェンマの足がカモシカのようでカッコイイと言ってたっけ。そうそう、竹脇無我のことも好きだったよなぁと・・・という風。しばし想い出に浸った後、最初から見直すことにしました。

話は単純明快。時は南北戦争が終結した1865年、ジュリアーノ・ジェンマ扮する元南軍兵士ゲイリーは活路を求め西部へと旅立ちます。敗北からの出発、己の腕と運だけをたよりに、胸のポケットにお守りの1ドル銀貨を入れて・・・・行きついた西部の街・イエローストーンで、マッコリーという極悪非道な男と出会ったことが彼の運命を狂わせます。マッコリーの正体を見抜けず、まんまと騙されたゲイリーは弟を失い、自らも瀕死の重症を負うものの奇跡的に回復し、マッコリーへの復讐を心に誓うのでした。悪の巣窟に単身乗り込み、鉄拳をふるい銃を放ちの大暴れは活劇の醍醐味です。

観ていくうちに、だんだんと楽しいと感じはじめました。だってね、見ようによっては、ジュリアーノ・ジェンマの超人ぶりがユニークで魅力的ですもの。ガンさばきは有り得ない巧みさだし、銃弾を受けても死なないし、銃を構える相手を素手で倒してしまう格闘家だし・・・・・笑。マンガの実写版のような映画ですが、正直言って面白かった。なによりも、ウン十年前の感覚が蘇ったことが嬉しかったです。
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地上最大のショウ
2008-04-07 Mon 12:01
greatestshow-2.jpg監督:セシル・B・デミル
原作:フレドリック・M・フランク、シオドア・セント・ジョン 、フランク・キャヴェット
脚色:フレドリック・M・フランク 、バリー・リンドン 、フランク・キャヴェット
撮影:ジョージ・バーンズ
美術:ハル・ペレイラ 、 ウォルター・タイラー
音楽:ヴィクター・ヤング
原題 : The Greatest Show on Earth
製作年 : 1952年
製作国 : アメリカ
出演:ベティ・ハットン 、コーネル・ワイルド、チャールトン・ヘストン、ドロシー・ラムーア
グロリア・グラハム、ジェームズ・スチュアート


世界最大のサーカスといわれるリングリング・ブラザース=バーナム・アンド・ベイリー一座の協力によって作られた、スペクタクルシーン満載の娯楽大作です。空中ブランコや動物の芸の巧みさ、団員総出のパレードの華やかさ、道化の悲しみを隠した笑い。サーカスは大胆さと優美さが混在する不思議な世界ですね。地上最大のサーカスをつくるため、日々、戦っている人々の物語です・・・・52年度のアカデミー作品賞に輝きました。

チャールトン・ヘストンという俳優さんは、独特の存在感をもって数多くのハリウッド大作に出演し、その名を世界に馳せました。「十戒」でモーゼを演じたことで自分のイメージをつくり、それを「ベン・ハー」で理想像として固めたのでしょうね。「地上最大のショウ」では、線の細さがあるものの、背筋を伸ばし凛とした演技をみせています。

さて、映画は。
絢爛豪華なサーカス団を率いる座長のブラッド(チャールトン・ヘストン)とサーカスの看板・空中ブランコ乗りのホリー(ベティ・ハットン)は互いに好意を抱いてます。ある日、人気曲芸師のセバスティアン(コーネル・ワイルド)が入団し、そのことがふたりの関係に微妙な影を落とします。セバスティアンに対抗意識を燃やすホリー。しかし、ショウの運営をまかされているブラッドにとって、セバスティアンはどうしても必要な人材。こうして立場の違うふたりの心は次第に離れていくのです。いつのまにか、ホリーの気持ちはセバスティアンに傾き・・・・

と、女心の複雑さが描かれているのですが、イマイチよくわかりませんね〜(笑)。ライバル心が恋心に変わるというのは・・・・。大怪我を負ったセバスティアへの同情が愛に変わったのか、彼への尊敬か。いやいや、どこか冷たいブラッドへの当て付けだったのかな。

この映画には、ショウの中継映像がふんだんに盛り込まれており、観客を飽きさせません。極めつけはラスト、さらなるスペクタクルが用意されていました。移動用サーカス列車の大衝突事故シーンは迫力満点。横転した列車から逃げ出す猛獣、負傷しうめく団員たちの様子は痛々しい限りです。このとき、ブラッドを助けたのは、謎の道化師バトンズ(ジェームズ・スチュアート)でした。ジェームズ・スチュアートは最初から最後まで道化のメイクで素顔を見せていません。彼の存在も見所の一つでした。

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チャールトン・ヘストン氏が4月5日、ビバリーヒルズの自宅で亡くなりました。ご冥福をお祈りします。合掌。
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モンゴル
2008-04-05 Sat 18:39
mongol.jpg
原題:Mongol
監督・脚本:セルゲイ・ボドロフ
製作:セルゲイ・ボドロフ、フィリップ・リー、セルゲイ・セリリアノフ、アントン・メルニク
撮影:セルゲイ・トロフィモフ、ロジェ・ストファーズ
美術:ダシ・ナムダコフ
製作年:2007年
製作国:ドイツ・カザフスタン・ロシア・モンゴル
出演:浅野忠信、スン・ホンレイ、クーラン・チュラン


楽しみにしていた映画が公開されました。モンゴル帝国を築いたチンギス・ハーンの若き日の苦悩と野望を、壮大なモンゴルの大平原の映像の中に描いた叙事詩です。父を毒殺されたことに始まった逃亡と戦いの日々。奴隷にまで身を落としながらも苦難を乗り越え、誇り高き勇猛な戦士として復活する姿を追ったものです。冒頭に流れるホーミーの音がモンゴル部族の勇猛さを語っているように聞こえ効果的です。

集団をもって敵を乗馬襲撃する攻撃する兵科を騎兵といいます。この兵科のおこりは、西洋ではなくモンゴルでした。モンゴル人たちはヨーロッパを侵略したとき、騎兵集団の白刃突撃の戦法をくりかえしおこない成功したそうです。この映画を観たいと思った理由は、モンゴルの騎馬攻撃を感じたかったから。その点では見所満載でした。騎馬民族の強さを見せつけられました。

余談になりますが(汗)日本の戦国時代の合戦は騎馬中心ではなく、徒歩(かち)兵が中心でした。戦国武士は下馬して戦闘に臨んでいました。日本における騎馬戦闘は、武士が騎馬弓兵だった源平合戦の頃までで、戦国時代に入ると、馬は輸送用の手段になったそうです。

さてさて、ロシア人監督のセルゲイ・ボドロフの描く戦闘シーンは迫力満点!いくつかの戦闘パターンをみせてくれました。騎兵集団に対して身を隠して待ち伏せし、先の分かれた槍のようなものを使って兵を馬から引きづりおろし刀を振るう。手綱を持つ手に槍、剣、斧などの白刃、背には弓矢。逃げる敵に弓を放つ。時には双方、下馬しての戦闘。いずれも血しぶきが飛ぶリアルな描写です。最後のクライマックスシーンに動員されたエキストラは1000人、馬は300頭(驚)・・・・壮観でした。

チンギス・ハーンのモンゴル統一は、その優れた戦闘能力とモンゴル魂によって成された偉業なのでしょうね。モンゴルの美しくも過酷な自然がモンゴル魂の源。乾いた大陸性気候の台地は、全てを受け入れるようでありながら、強いものを選り分け淘汰しているようにも思えます。運命に翻弄されながらも、果敢に戦い続けるハーンの姿に心を打たれました。

PS:この映画はプロットを優先させてはいませんし、史実を語ろうとするものでもありません。描かれているのはモンゴル人の猛々しい戦闘精神です。なぜ、それを伝えたかったのか・・・・。セルゲイ・ボドロフ 監督の国はロシアです。ロシア帝国は長年、モンゴル帝国の支配下にありました。ロシアの原型はモンゴル帝国で、社会史的にみたロシア人は目の青いモンゴリアンだとする説があります。監督はロシア人(スラヴ人)の本質的な部分を追求したのかもしれませんね。
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