HP「ジャック・ニコルソンの館」を立ち上げました。よかったら覗いてみてくださいネ♪
天国から来たチャンピオン
2008-05-30 Fri 13:32
heavencanwait.jpg
監督: ウォーレン・ベイティ 、バック・ヘンリー
製作: ウォーレン・ベイティ
製作総指揮: ハワード・W・コッチ・Jr
脚本: エレイン・メイ、 ウォーレン・ベイティ
撮影: ウィリアム・A・フレイカー
音楽: デイヴ・グルーシン
原題: HEAVEN CAN WAIT
上映時間 101分
1978年、アメリカ映画
出演: ウォーレン・ベイティ、ジュリー・クリスティ、ジェームズ・メイソン 、ジャック・ウォーデン 、チャールズ・グローディン、ダイアン・キャノン


天国へ行ったことがありますか?どんな所なのでしょうかねぇ。行って見たいな、いつの日にか・・・です(笑)。天国から帰って来た人と言えば、フォーク・クルセダーズの「帰ってきたヨッパライ」を、その代表に挙げたいところですが(古っ)ウォーレン・ベイティの「天国から来たチャンピオン」も捨てがたいですね♪

製作、脚本、監督、主演の4役をこなしたウォーレン・ベイティに拍手です!映画の冒頭はアメリカン・フットボールのクォーターバック、ジョー(ウォーレン・ベイティ)のトレーニング風景。カメラは山道を走り器具を使って足腰の強化に励むジョーを追います。生レバー入りの野菜ジュースで健康管理。趣味はクラリネットを吹くこと。そんな元気ハツラツな青年に降りかかる珍事・・・・・。

いつものように、快調に、自転車のペダルをこいでトンネルへ・・・・ガッチャ〜ン、自転車と車がぶつかった音がぁ(汗)。真っ暗なトンネルから場面は一転し、背広姿の男とジョーが雲の中を歩いています。そこは天上の世界、天国への中継地点だったのです。背広姿の男は天国への案内人。ところが、この案内人が新米で、残りの寿命が50年あるジョーを間違って連れてきてしまった・・・。ということで、急きょ、地上に送り返そうとするも、時既に遅かりし。戻るべき肉体は火葬され灰と化していました。仕方なく、命がつきかけている人の体を借り、地上へと戻ってきます。戸惑いの中、ある女性と恋に落ちたジョーの、魂の再生を描いたファンタジーです。

人間の世界に頻繁に出没する天上界の案内人が、普通の人っぽい。さながら一流企業に勤めるサラリーマンといった風采かな(笑)。あの世のお方なのに、神秘的でも慈悲的でもなく、事務的というのが可笑しい。かたやジョーもマイペース。自分が死んだことを知っても悲嘆するふうはなく、猛然と抗議して地上に舞い戻って来るとは・・・・。言ってみるものですね〜。為せば成る為さねば成らぬ何事も!スーパー・ボールに出たいが一心の往生際の悪さ?が、案内人のミスの発見につながりました。

ジョーは一度死んで、その魂は再び別の個に宿って生き続けますが、最後には以前の記憶を消されることに。そのことを知ったジョーは恋人に別れを告げます。「もし、いつか、フットボールの選手が現れて、彼の目に何かを感じたら・・・・だぶん、そいつはクオーター・バックだろう」はたして二人は再び出会います。互いに相手を知っているような感覚・・・・。「あなた、クオーター・バック?」「ああ、どうして知っているの?」このシーンは最高にロマンティックです☆魂は永遠に循環しているのかもしれませんね。人は魂の流れの中にあるのだと気づかせてくれる作品です。
別窓 | 懐かしの映画 | コメント:8 | トラックバック:0 |
訃報・シドニー・ポラック
2008-05-27 Tue 21:50
Sydney Pollack.1

数々のヒット作を世に送り出した監督さんですね。深く印象に残っているのは『追憶』 (1973) と『愛と哀しみの果て』 (1985) 。作品が好きというよりも、ロバート・レッドフォードが出演していたからでしょうか。。。。『コンドル』(1975)もレッドフォードの主演です。(これは一度しか観ていないので、よく覚えておりません)その他、『ザ・ヤクザ』 (1974) 、『トッツィー』 (1982) 、『ザ・ファーム/法律事務所 』 (1993) 、『サブリナ』 (1995) 、『ランダム・ハーツ』 (1999) 、『ザ・インタープリター』(2005) など、どれも素晴らしい映画です。

監督の映画に登場する女性たちは個性豊かです。『追憶』のバーブラ・ストライサンドは赤狩り時の政治活動家、『愛と哀しみの果て』のメリル・ストリープはアフリカの大地に生き、『ザ・ファーム/法律事務所 』のホリー・ハンターは命がけで不正を追求し、『ザ・インタープリター』のニコール・キッドマンも凛とした強さを持っていました。俳優としても活躍した人です。『フィクサー』での演技は忘れられないものとなるでしょう。
合掌。
別窓 | 映画 |
ギルダ
2008-05-24 Sat 09:36
gilda.jpg
監督: チャールズ・ヴィダー
原作: E・A・エリントン、ジョー・アイシンガー
原題:Gilda
脚本: マリオン・パーソネット
撮影: ルドルフ・マテ
音楽: モリス・W・ストロフ
上映時間 109分
製作国:アメリカ 、製作年:1946
出演: リタ・ヘイワース 、 グレン・フォード 、ジョージ・マクレディ、ジョセフ・カレイア、ジョー・ソーヤー 、ルース・ローマン


『ショーシャンクの空に』の中、刑務所内で慰安上映されていた映画です。”愛の女神”と称えられるリタ・ヘイワースの妖艶さが全編に漂っています。けだるい佇まいに魅惑の口元、神秘的な瞳。見る者の心を波立たせる美しさです。ギターの弾き語り「みんな彼女のせいにしな」は『ショーシャンクの空に』で流れた曲。これは彼女のテーマ曲のようで、この曲に合わせダンスも披露しています。



ストーリーは。
舞台は南米、アルゼンチンの首都ブエノスアイレス。違法カジノに流れ着いた男(グレン・フォード)と彼を拾った店のオーナー(ジョージ・マクレディ)とギルダ(リタ・ヘイワース)の微妙な三角関係を描いたサスペンス。ふたりの男の間で揺れ動くギルダを巡る愛と憎しみを描いています。ギルダは言います。「憎しみは心を躍らせる感情、スリルよ。憎しみだけが私を興奮させる。あなたをどんなに憎いか知りたい?たとえ自分が死んでも、破滅させてやりたいくらい」と・・・・・・。

Rita Hayworth3
ねっ、セクシーでしょ?タバコの煙が虚ろなギルダの心みたい・・・。でね、ポイ捨てしたタバコがすれ違った男に当たってしまうのですよ。その時のセリフが洒落てます。「嫌われたかな?」と問う男に「欲求不満を捨てただけよ」「僕の上に?」「そうよ、それが何?」アンニュイな雰囲気ですね〜。これはリタ・ヘイワースだから成立する会話。普通は「おいっ!タバコが当たったぞ、ポイ捨てするな」「スミマセン。灰皿がなかったもので」「俺は灰皿じゃない」「大変申し訳ありませんでした、以後気をつけます」となりますものね(笑)。

DVDの解説によると、彼女の人生は映画以上に波乱に飛んだものだったそうです。主演のふたり、リタ・ヘイワース と グレン・フォードは、私生活でも特別な関係でした。リタ・ヘイワースがグレン・フォードの楽屋のトイレで自殺未遂事件を起こしたのです。一糸まとわぬ姿のヘイワースが床に寝そべり、周囲には多量の睡眠薬が散らばっていました。フォードが電話で救急車を呼んだ、その時、ハリー・コーン(コロンビア映画のボスでリタの愛人)が4人のカメラマンを引き連れて飛び込んできました。ヘイワースのヌード写真を撮られまいと、フォードはとっさに失神した女優の身体に覆いかぶさりました。次の日、その時の写真とスキャンダラスな見出しが新聞紙面を飾ったそうです。リタ・ヘイワースには5回の結婚歴があります。絶頂期にインドの王子A・カーンと結婚し引退しますが、結婚生活は長続きせず、4年後に映画界に復帰。2度目の夫はオーソン・ウェルズでした。

リタ・ヘイワースは名ダンサーでもあり、ミュージカル映画にも出演しています。フレッド・アステアと『晴れて今宵は』、ジーン・ケリーとは『カバーガール』で共演を果たしました。この2本も観たいです!
別窓 | 懐かしの映画 | コメント:8 | トラックバック:0 |
ミスト
2008-05-21 Wed 20:22
mist.jpg
原題: The Mist
監督・脚本: フランク・ダラボン
製作総指揮: ボブ・ワインスタイン、ハーベイ・ワインスタイン、リチャード・サバースタイン
原作: スティーブン・キング
撮影: ローン・シュミット
音楽: マーク・アイシャム
出演: トーマス・ジェーン、マーシャ・ゲイ・ハーデン、ネイサン・ギャンブル、ローリー・ホールデン、アンドレ・ブラウアー、トビー・ジョーンズ、ウィリアム・サドラー、アレクサ・タバロス
2007年アメリカ映画/2時間5分

公式HPはコチラ

ネタバレしています。
恐かったです。ホラーだと知らなかったし・・・ブツ、ブツ。しかし、そこはスティーブン・キング原作×フランク・ダラボン監督という組み合わせ、陰鬱な悪夢に堕さない画面構成と人物描写で魅せてくれました♪人の心の奥底にある暗黒を描き出した、心底恐ろしい映画です。『ショーシャンクの空に』とは映画の色彩こそ違えども、両作品に共通するテーマは希望。希望を持ち続けた者と最後に希望を捨てた者との明暗分かれる結末。『ミスト』には驚愕の結末が用意されていました。

霧に覆われた田舎町のスーパーマーケットを舞台にしたミステリーホラーです。視界ゼロの霧の中に「何か」がいる・・・得体が知れないもの、未知なるものへの恐怖。やがて恐怖は狂気へと・・・・。狂気の斜面をすべり落ちる人々。画面に漂う悲痛な雰囲気。心の内に狂気を秘めた倒錯者。霧の中のモンスターに呼応するかのように人々の心が邪悪なものに支配されていく様が恐いです。

極限状態に置かれた人間に、聖書の文言を歪曲して説く狂信的な女。霧の中の怪物は神の怒りの創造物であり、その怒りを鎮めるためには「いけにえ」が必要だと言います。こうして人間の、人間に対する非人間的行為が行なわれます。このキャラは『キャリー』(1976年)の中に登場するキャリーの母親とほぼ同じですね。キングさん、キャラの使いまわし?(笑)彼女に対して嫌悪を感じる人は多いでしょうが、その教えには一理ありかも(滝汗)。だってねぇ、未曾有の惨事を目の当たりにしてごらんなさいな。科学で説明出来ない事柄は神の領域云々・・・ということにしたいですよ。私のような人間が真っ先に洗脳されてしまうのでしょうね(笑)。(次元に手を出すなんてことは神への冒涜です!)

ラストは衝撃的ではありますが、あのラストにしてまでも伝えたかった希望の大切さ。これはフランク・ダラボン監督のオリジナルだそうですね。そうかぁ、こういう感性を持った人だから、スティーブン・キングの小説の映画化に成功したのでしょう。超自然的な力をもつ巨大な悪と人間の心に潜む悪を前に、全ての賭けに勝ち目がなくなったと悟ったとき、人は絶望するのでしょう。希望は消え失せ、恐怖と絶望だけが残ってしまった・・・。間違った決定、運の悪さ・・・・残酷な運命のいたずらとしか言いようがないですね。
別窓 | 映画 | コメント:10 | トラックバック:1 |
ショーシャンクの空に
2008-05-19 Mon 16:21
shawshank.jpg
監督: フランク・ダラボン
製作総指揮: デヴィッド・レスター 、リズ・グロッツァー
原作: スティーヴン・キング
脚本: フランク・ダラボン
撮影: ロジャー・ディーキンス
美術: テレンス・マーシュ
音楽: トーマス・ニューマン
原題:THE SHAWSHANK REDEMPTION
上映時間 :143分
製作国 :アメリカ  製昨年:1994
出演:ティム・ロビンス、モーガン・フリーマン 、ウィリアム・サドラー 、ボブ・ガントン、ジェームズ・ホイットモア


新聞の映画広告に『グリーンマイル』『ショーシャンクの空に』の2作品の名前が踊っています。スティーヴン・キングの原作をフランク・ダラボンが映画化した『ミスト』とマンデラの獄中生活『マンデラの名もなき看守』のコピーに登場。う〜ん、「ミスト」の広告で出てくるのはわかるのですが、『マンデラの名もなき看守』はなぜ?監獄ものだからでしょうかねぇ(笑)。

舞台は1947年から66年にかけてのショーシャンク刑務所。妻とその浮気相手を殺した罪で投獄された元銀行家の静かな戦いを描いています。彼の名はアンディ(ティム・ロビンス)。愛する妻と銀行の副頭取の肩書きを持つ、前途洋々の若者でした・・・・。

つかみどころのない人物を演じさせたら、ティム・ロビンスの右に出る役者さんはいないでしょうね(笑)。アルトマン監督の『ザ・プレイヤー』での演技は特に印象に残っています。独特の雰囲気があるのですよねぇ。自分が犯していない罪に問われた男の絶望と希望を、内省的で悲壮な演技でもって見事に表現しています。喜怒哀楽を覆い隠し、不屈の闘志を内に秘めた男・・・深みがあります。

監視する側とされる側。罪人として収監されている者と彼らを法の名の下に管理する看守。本来ならば、罪人が悪で看守は善のはずが、この映画では逆転しています。悪意に満ちた冷淡さを持つ所長は裏金作りに励み、看守主任は残虐極まりない方法で囚人たちを罰する。世間から切り離された空間で日々繰り返し行なわれている陰湿なイジメ。そんな絶望的な世界で正気を保つには、よほどの精神力を持っているか、全てを諦めて廃人同様に生きるしかないでしょう。

刑務所での20年は長いですね。映画女優のポスターを小道具に使って、時の流れを表しています。アンディの独房の壁を飾ったのは、初代はリタ・ヘイワース、入所10周年の記念に贈られたのがマリリン・モンロー、そしてラクエル・ウェルチへと・・・・。リタ・ヘイワースは刑務所で上映された映画『ギルダ』にも登場しました。名前を呼ばれ「私?」と頭を上げてニッコリするシーン、最高の笑顔です!原作はスティーヴン・キングの【刑務所のリタ・ヘイワース】ですものね〜。20年のあいだに、アンディの髪には白いものが混じるようになり、老眼鏡のお世話に。そうして刑務所生活に馴染み溶け込んだように思えたのですが・・・・・・。

アンディは自由になることを諦めてはいなかったのです。希望は何にも替えがたい永遠の命題。彼は希望を失うことはなく、その時のために黙々と準備をしていました。20年間、ロックハンマーで自由へ通じる穴を掘り続けます。コツコツと。己の信念に忠実で、決して希望を捨てなかった主人公に、すがすがしい感動を覚えました。
別窓 | 映画 | コメント:10 | トラックバック:1 |
野良犬
2008-05-16 Fri 12:46
norainu.jpg
監督:黒澤明
脚本: 黒澤明、菊島隆三
撮影: 中井朝一
美術: 松山崇
編集: 後藤敏男
振付: 縣洋二
音楽: 早坂文雄
助監督: 本多猪四郎 、今泉善珠
上映時間 :122分、製作国:日本
公開:1949
出演: 三船敏郎 志村喬 淡路恵子 三好栄子 千石規子 河村黎吉 東野英治郎 永田靖 木村功


拳銃を盗まれた新米刑事(三船敏郎)が先輩刑事(志村喬)とともに犯人を追い詰めていくサスペンスです。冒頭にはゼエゼエと舌を出して喘いでいる野良犬のアップ。事件の起こった日の暑さと、臭覚鋭く犯人の痕跡を追う刑事を連想させるショットです。暑さは犯罪を誘発する一因なのでしょうかねぇ。「狼たちの午後」(1975)でも、事件の舞台となったブルックリンの暑さが強調されていました。

暑い夏の日であることは、人々がハンカチで額の汗を拭き、団扇で仰ぐ姿で伝わってきます。それに加えて、夏の射すような光線!人、樹木、建物の影の短さに、真上から照りつける太陽をヒシヒシと感じます。舗装されていない道路に立つ土ぼこりからは、カンカン照りの日々が続いている事が伺われます。これが黒澤映画の表現能力なのですね。

三船が復員兵の格好で昼の闇市、夜の酒場をうろつくシーンに、日本の戦後の混沌を見ました。狭い路地に溢れる人々、タバコをくゆらす女、戦争孤児と思われる子供たち、道端で営業を行なっている散髪屋、屋台でスイトンを食べる人、途方にくれたように座り込んでいる復員兵、スリと警官の捕り物・・・・・。それにしても、人が多い。東京は焼け野原と化したので、路上生活者が多かったのでしょうか。こんな状態から復興を果たし、経済大国として先進国の仲間入りをした当時の日本人のバイタリティには脱帽です。

ピストル強盗の犯人のひとりに目星をつけ、後楽園球場にいると思われるホンダ(タチバナ)を捜す三船と志村喬 の刑事コンビ。南海対巨人の試合を見守る5万人の観衆。当時は1リーグ制だったのですよね。川上がおります。(今もお元気なようでなにより)よ〜く見ると、バッターがヘルメットを被っていません。危ないですね〜。まっ、川上クラスになると、ボールが止まって見えたそうですから、問題なかったのでしょう(笑)。犯人を逮捕する際、球場がパニックに陥らないようにと、球場アナウンスが「上野のタチバナさん、大至急、正面入り口まで」と犯人を名指しで呼び出します。それに応える犯人はちょっと、オツムが弱いのかしら。こんな逮捕の仕方もあるのですね(笑)。

ホンダの逮捕によって、犯人グループの実態が明らかになります。リーダー格の遊佐(木村功)が姿を現すのは最後の最後。遊佐と三船の対決はセリフを排除した緊迫感あるシーンでした。ふたりの格闘をよそに、近くの館でピアノを弾いている令嬢。人生いろいろ。。。。戦争により何もかも失くした人間もいれば、戦後のどさくさに乗じて財を成した者、何ら変わることなく暮らす者もいたでしょう。

「世の中には悪人はいない、悪い環境があるだけだ」 戦場を体験した刑事の三船は、人間というものが、ごく簡単な理由でケダモノになることを知っています。戦後まもなくの貧しさの中、社会的病巣の深部で、もがき苦しむ遊佐に同情をみせつつも、悪に身を置く者を執拗に追いかけます。一匹の狂犬を野放しにすれば、病巣が広がってしまうから・・・。冒頭の野良犬は、狂犬的な生き方しか出来なかった人々が喘ぐ様かもしれません。
別窓 | 黒澤映画 | コメント:4 | トラックバック:1 |
虎の尾を踏む男達
2008-05-13 Tue 10:45
toranoo.jpg
監督: 黒澤明
脚本: 黒澤明
撮影: 伊藤武夫
美術: 久保一雄
編集: 後藤敏男
音楽: 服部正
上映時間:59分
製作国:日本
初公開年月:1952 制作年:1945
出演: 大河内伝次郎 、藤田進 、榎本健一 、森雅之、志村喬 、河野秋武、小杉義男、横尾泥海男、仁科周芳


「旅の衣は篠懸(すずかけ)の、露けき袖やしをるらん〜♪」と
「虎の尾を踏み、毒蛇の口を〜♪」が頭に貼りついて離れません(笑)。ワンコを散歩させる初夏の道「旅の衣は篠懸の〜」と小声で歌っております。時に「虎の威を借るピーコちゃん〜」(*愛犬の名)とか「獲らぬ狸の皮算用〜」と変化することも(笑)。この歌がオリジナルなのか、能や歌舞伎に使われている曲なのか、分からないのですが、日本的な響きを持つ耳に残る音楽ですね。

歌舞伎十八番「勧進帳」をもとに、義経と弁慶ら一行の安宅(加賀)の関所越えが描かれた作品です。歌舞伎に疎い私でも「勧進帳」は知っています。弁慶の「飛び六方」が有名ですものね♪義経と弁慶の主従愛は日本人に好まれてきた題目。義経役の仁科周芳は「判官びいき」が納得する(?)悲哀に満ちた美しさです。義経と浅野内匠頭は美男役者が演じてこそ、人の心を掴むのでしょう。両者とも歌舞伎で有名になりました。弁慶を演じているのは大河内伝次郎。安宅の関での富樫左衛門とのやり取りは若干、聞き取りづらいのですが、迫力の演技で気持ちが伝わってきます。

聞けばこの映画、戦時中に作られたとか・・・・驚きです。戦時中だからと、プロパガンダ映画ばかりが作られていたわけではないのですね。緊迫する社会状況の中、よくぞこれほど楽しい映画が出来たものだと感心します。物資、人手不足があったでしょうに、戦争で疲弊した人々を励ます、力強い作品に完成しています。力強さは大河内さん、楽しさは榎本健一さんによって、もたらされたものでしょう。私、エノケンさんの演技を始めて見ました。小柄な体から発せられる笑いのパワーに圧倒されます。滑舌の良いセリフ、ころころと変化する表情、全身バネのような瞬発力が生み出す突拍子もない動き。そのパフォーマンスのクオリティの高さは見事のひとことに尽きます。ヒヒヒヒという特徴的な笑い方は、この作品に限ってのものなのでしょうか?

弁慶が何も書いていない巻物を勧進帳に見せかけ読み上げるシーンと義経を打ち据えるシーンは、この映画の見せ場。富樫左衛門の見せた武士の情けも良いですねぇ。富樫の使いの者が注ぐ酒を、豪快に飲み干す弁慶、酔いがまわった強力の踊りも楽し・・・です。目覚めたエノケンが弁慶のかわりに「飛び六方」で退場しました。やっぱ、これがなきゃ(笑)。
別窓 | 黒澤映画 | コメント:7 | トラックバック:0 |
椿三十郎
2008-05-08 Thu 20:52
tubakisanjyurou.jpg
監督:黒澤明
原作:山本周五郎
脚色:菊島隆三、小国英雄、黒澤明
撮影:小泉福造、斎藤孝雄
音楽:佐藤勝
美術:村木与四郎
製作年 : 1962年
製作国 : 日本
出演:三船敏郎、仲代達矢、小林桂樹、加山雄三、 団令子、 志村喬、 藤原釜足、 入江たか子、 土屋嘉男、 田中邦衛


これは「用心棒」の続編と捉えていいのでしょうかねぇ。「用心棒」の桑畑三十朗に対し、こちらは椿三十郎。同じ名前、同じファッションセンス(?)、同じ身のこなし。いさかいがあれば、首をつっこみたくなる性分も同じ(笑)。「椿三十郎」は山本周五郎の「日々平安」が原作です。不正を働く次席家老黒藤一派を、浪人椿三十郎が、9人の若侍と一緒に退治する痛快時代劇。「用心棒」でみせた三十朗の見事な剣さばきは健在でした。

「わたしの名ですか・・・椿三十郎、もうそろそろ四十朗ですが」「城代の居所を突き止めるころには、俺は白髪の七十朗」・・・と、三十朗さん、自分の名前をネタに軽快なギャグを飛ばしてご満悦です(笑)。この映画、登場人物が皆、三枚目で悪人たちは憎めないキャラ。ワルワル3人組が三十朗にダマされ、合図の椿の花を小川に流すシーン、敵方の用心棒・室戸半兵衛が三十朗の口車に乗って翻弄させられるシーンには笑ってしまいます。もしかしたら、根は悪くない人たちなのかも?性善説を受け入れたくなりますねぇ(笑)。

その他・・・・
若侍たちに捕まったのに逃げるでもなく、押入れを出たり入ったり、時には若侍にアドバイスまでしている小林桂樹のオトボケ。城代家老の奥方の、悠然とした立居振舞の妙。三十朗さんに「直ぐに人を斬るのは悪い癖ですよ」なんて説教しています。(人斬りは癖なのでしょうか・爆)彼女の踏み台になった三十朗の「痛っ!」という表情・・・笑。若侍たちの、気持ちが先走る思慮のなさも滑稽です。この方たち、そろいも揃って、ワンテンポずれているのですが、当人たちは至極大真面目。そこが可笑しいのですよね。それやこれやで、三十朗さんの孤軍奮闘が続きます。

仲代達矢さんは「用心棒」に続いての敵役でした。インパクトがあるカツラを着用しています(笑)。額の部分が大きく露出した老人用のものだそうです。黒澤監督は「影武者」や「乱」でも、この種のカツラを使用していますね。気のせいか、これを被ると俳優さんが悪人面になるような気が・・・・汗。喜劇的な様相が強い映画ですが、ラストの三船と仲代さんの決闘シーンは、緊迫感溢れるシリアスなものでした。刀をサヤより抜くと同時に間髪を入れず相手を斬る居合いで、仲代さんを仕留めました。あの血・・・・・・若侍たちもア然としていましたね。三十朗さん、刀をサヤに納めて「あばよ」と立ち去りました。
別窓 | 黒澤映画 | コメント:4 | トラックバック:1 |
大型連休の過ごし方
2008-05-05 Mon 09:52
5月3日。横須賀の三笠公園へ行ってまいりました。米軍基地のすぐ近くです。目的は公園に保存、展示されている戦艦三笠。ワンコたちも一緒です。ところが、この公園、ペットの入園が不可(涙)。しかたなく、夫と交代で中に。。。。

今、司馬遼太郎さんの「坂の上の雲」を読んでいます。バルチック艦隊を破った日本海海戦の記述もあります。その時の旗艦が「三笠」でした。

轟く砲音(つつおと) 飛び来る弾丸(だんがん) 荒波洗うデッキの上に 闇を貫く中佐の叫び 「杉野は何処(いずこ)杉野は居ずや」

mikasa3.jpg
*戦艦三笠のHPはコチラ

kawagoe0504.jpg
続く5月4日は川越城跡に。たいした渋滞もなく到着。川越城は扇谷(おおぎがやつ)上杉持朝(もちとも)が1457年に家臣の太田道真・道灌親子に命じて築城させたものです。徳川家康が天下を取った後は、江戸の北を守る重要拠点として酒井氏が配置されました。この辺りで川越夜戦があったかと思うと、感無量でした。

美味しそうなうどん屋さんを発見!外の席であれば、ワンコもOKとのこと。お昼をいただいてから3時間しか経っていなかったのですが、この日2度目の昼食(笑)。「あっ、そうだ、写真!」と思い、カメラに気をとられていると・・・・。ピーコがヒョイと顔を出し、割り箸をペロリと舐めてしまいました(汗)。油断もスキもない。
kawagoe3.jpg

偶然にも山車に遭遇!ラッキー〜♪
kawagoe4.jpg

ワンコを連れての、泊りがけの旅行は大変です(昨年の川中島への旅で懲りました・・・笑)。我が家は日帰り小旅行しか出来ないなぁ。
別窓 | ワンコとお出かけ | コメント:15 | トラックバック:0 |
ムーラン・ルージュ
2008-05-02 Fri 21:11
mourinrouge.jpg監督:バズ・ラーマン
脚本:バズ・ラーマン、クレイグ・ピアース
撮影:ドナルド・マッカルパイン
音楽:クレイグ・アームストロング
音楽監督:マリウス・デ・ヴリーズ
音楽監修:アントン・モンステッド
美術:キャサリン・マーティン
原題 : Moulin Rouge!
製作年 : 2001年、製作国 : アメリカ
キャスト:ニコール・キッドマン 、ユアン・マクレガー 、ジョン・レグイザモ 、ジム・ブロードベント、リチャード・ロクスバーグ


19世紀末のパリ。「ムーランルージュ」で繰り広げられるショーとロマンスを描いたミュージカルです。ムーランルージュの花形スターにして高級娼婦のサティーン(ニコール・キッドマン)と、作家を目指してパリへやってきた青年クリスチャン(ユアン・マクレガー)の悲恋物語。パトロンがいる娼婦と貧乏な青年の恋愛、住む世界が違う男女の許されない愛です。これに不治の病というファクターまで加われば、陳腐なお涙頂戴映画になるところを、バズ・ラーマン 監督はスピード感あふれる展開で、エネルギッシュな恋愛映画へと描き上げています。悲劇的な部分と喜劇的な部分、めまぐるしく入れ替わる作風がとてもユニーク。

ムーランルージュはナイトクラグで娼館。カンカン踊りの輪が咲き乱れる享楽の宴。アブサンを飲んだクルスチャンの幻覚なのか・・・。そこに青白い光に包まれたサティーンが空中グランコに乗って姿を現します。ニコール・キッドマンの白い肌に真っ赤なルージュ、ハッとするような美しさです。絢爛豪華で幻想的なシーンは「ロッキー・ホラー・ショー」の世界を思い起こさせます。

この調子で映画は進行するのかと思いきや、次には、うっとりするほどロマンティックな愛の風景が待っていました。星屑が降り注ぐ夜空の下、クリスチャン(ユアン・マクレガー)の歌うエルトン・ジョンの「ユア・ソング」。ここで一気に映画の世界へ引きずり(?)こまれました。ユアンの甘いルックスと声に心がとろけましたですよ♪幻想、浪漫に続いては、喜劇的なシーンが登場します。象の部屋(娼館)でパトロンとチャーリーが鉢合わせしてしそうになった時の、サティーンとチャーリーの動きは滑稽です。そして次にはダークな世界を見せる・・・・次々と姿を変える心情風景が最後まで、見る者を揺さぶり続けます。

こうしたムーランルージュの喧騒の中、やがて重い現実がふたりを襲います。サティーンはお金で愛を売買する世界に生きる女。貧乏な作家の愛だけでは、そこから救ってやることは出来ないのです。一度はふたりでムーランルージュから逃げ出そうとするものの、自分の死期を悟った娼婦は、愛する人に偽りの言葉を投げてつけて別れようと・・・・。劇中劇とシンクロする二人の愛の物語が一体になった時、悲劇のストーリーは幕を閉じます。「しっかり生きてね。いつも、あなたのそばにいるわ」・・・・涙。

ビジュアルと音楽の力が合わさっての、眩いばかりの輝きを放つ映画です。登場人物たちの個性もさることながら、そこに集う人々を飲み込んでしまうムーラン・ルージュの魔力に惹かれました。
別窓 | 映画 | コメント:10 | トラックバック:2 |
| 嗤う生活 | NEXT