監督: ジョン・ヒューストン
原作: ハーマン・メルヴィル
脚本: レイ・ブラッドベリ、ジョン・ヒューストン
撮影: オズワルド・モリス
音楽: フィリップ・セイントン
製作年:1956
製作国:アメリカ
出演:出演: グレゴリー・ペック、 レオ・ゲン、リチャード・ベースハート、オーソン・ウェルズ、ジェームズ・ロバートソン・ジャスティス、ハリー・アンドリュース、バーナード・マイルズ *ジャック・ニコルソン出演作レビューが続いていますが、「白鯨」を挟みます。
メルヴィルの同名小説をジョン・ヒューストンが映画化した海洋パニック。ただし、ジョーズのような娯楽作品とは一線を画するものとなっています。登場人物の台詞とナレーションが、やや観念的なので、宗教的な素養がなければ、その意図するところを理解できないかも・・・・。よって、私には難しい作品でした(汗)。しかし、ラストの白鯨との戦いは海洋スペクタクル要素満載で楽しめましたよ^^;
時は1814年。マサチューセッツ州の、鯨漁で栄える街に、イシュメイル(R・ベースハート)という風来坊がやってきます。映画は彼を語りべに進行します。イシュメイルは宿で知り合った銛打ちの名人クィークェグ(フレデリック・レデバー)の話に魅せられ、共に捕鯨船ピークォッド号へ乗り込むことに。
グリーンランドやモンバサなど、世界の果てから集まった船員たち。彼らに続いて意気揚々と船に乗り込もうとするイシュメルに、預言者が近づき囁きます。「エイハブは死ぬ。しかし、すぐに蘇るや手招きし、一人を残して全員が後を追って死ぬだろう。」と・・・・・・。
船長のエイハブ(グレゴリー・ペック)は、白い鯨の顎骨から作った義足をはめた、眼光するどい海の男。顔に深く刻まれた傷と義足に鯨との死闘のあとがみてとれます。教会の神父(オーソン・ウェルズ)の「神が荒らした海を沈めんと油を流す者に災いあれ。堕落した身でありながら、他人に説教する者に災いあれ。人間は所詮、神には勝てぬ」という説教が暗雲たちこめる航海を暗示するかのようで不気味です。
船長の目的はただひとつ。モビイ・ディックと呼ばれる白鯨を仕留めること。彼の心は復讐心だけに支配され、暗黒の世界をさまよう魂と化しています。鯨はエイハブの脚と心までも、もぎ取ってしまったのでしょうか。映画はエイハブを英雄として描いてはいません。「鯨は神の使いであり、それに怒ることはは神を恐れぬ行為」なのです。ややこしくて申し訳ないのですが、世界に灯油を供給することを目的に鯨をとることは罪ではない。ただ、個人の復讐のために鯨を殺すことは、尊い仕事を、目的もない暗いものにねじ曲げてしまう行為と言いたいようです。
善意の役柄を演じることが多いグレゴリー・ペックの、邪悪な魂を持つ船長役。ときに善なる部分を見せつつ、根本には悪を潜ませている男を、そのルックスを巧みに活用して見事に演じています。