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2012.04/04(Wed)

黄金

メキシコの町に流れてきたドブスとその相棒カーティンは老人ハワードと出会う。彼らは黄金探しの夢を追って、旅に出ることに。シェラ・マドレ山で砂金を見つけたものの、猜疑心のとりことなったドブスは独り占めを企み……。三人の男たちの旅を通じて人間の欲望を描き出す。ジョン・ヒューストン監督の実父ウォルターが好演し、アカデミー助演男優賞を受賞。(映画com)

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元の木阿弥(もとのもくあみ)とはどういうことか、本作を見ればわかる(笑)。10か月もの間、一心不乱に働いて、ようやく手にした黄金が、一瞬のうちに吹き飛ばされる話。ダッブス(ハンフリー・ボガート)の猜疑心が招いた結果だ。ボギーさんが一人悪者にされ、気の毒な気がしなくもないが、よ~く見ると、この人、悪人面だ。顔も大きいし(←失礼)。登場シーンからイケてなかった。文無しで、通行人に「アメリカ人にカネを」と、物乞いをしている。ヨレヨレの汚れた服と薄汚れた大きな顔、『カサブランカ』のトレンチコートはどこにしまったの?って聞きたくなった(笑)。働けばいいのに「靴磨きなんかしたらアメリカ人からバカにされる」とか言って、人生を放り出したような生活を送っている。が、建築工事で臨時の職を得た頃から、ダッブスの生活は波乱ぶくみになっていく。

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金を掘りあてるまでのダッブス(ハンフリー・ボガート)は、良い人とは言えないまでも、最低限の人格は保っているように見えた。仲間のハワード(ウォルター・ヒューストン)やカーチン(ティム・ホルト)と軽口をたたいて笑いもする。だが、話が分け前のことになると、表情が固くなった。天秤で金の重さを測るシーンは緊張が走る。登場人物たちの仲間割れを暗示するような音楽。われわれ観客は、台詞の断片から真意を探り始めるようになる。これは観客がダッブスと同化してしまったからに他ならない。誰が誰を、いつ、どうやって裏切るのか・・・詮索せざるをえなくなるのである。落盤事故に遭ったダッブスをカーチンが助けるシーン一つをとっても、仕立てが巧い。ワンテンポずらすことによって、カーチンの僅かな迷いをすくい上げている。そして、この純真そうな若者だって、何かのきっかけで、豹変するかもしれないと観客に思わせる。疑ってかかれば、ハワードの目つきも気になる。陽気な老人が時おり見せる厳しい表情。案外、クセモノなのかもしれない。

ハワードとカーチンは黄金の誘惑に負けなかった。しかし、ダッブスは良心の呵責を感じながらも、ふたりを裏切ってしまう。これは予想通りだった。次なる関心事はダッブスの末路。3人の盗賊に襲われるというのがなんとも皮肉だ。もし、金を持ち逃げせず、ハワードとカーチンと一緒にいたならば、ロバも宝も、そして命も奪われることはなかっただろう。夢が風に吹き飛ばされた時、ハワードは「神が我々に仕掛けた悪ふざけだ。黄金は結局大地に戻った。10カ月の苦労も笑って忘れよう」と豪快に笑い、カーチンは「別に気落ちしてないさ、出資金は失ったけど命まで失っていない。」と、ハワードにつられたのか、笑っている。そうそう、笑うしかないよね。思いっきり笑っちゃえ!命あっての物種だ。

キャスト:ハンフリー・ボガート、ウォルター・ヒューストン、ティム・ホルト/監督:ジョン・ヒューストン/製作:ヘンリー・ブランク/原作:B・トレイブン/原題:The Treasure of the Sierra Madre/ 1948年アメリカ映画/上映時間:121分
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タグ : 映画感想

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