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2012.05/30(Wed)

裸の島

カメラが上空から、小さな島を写す。島の斜面は耕され、畑になっている。荷を背負った女と天秤棒を担いだ男が、段々畑を上っていく。「耕して天に至る 乾いた土 限られた土地」と、字幕が示す島に、一組の夫婦とその子供たちが暮らしている。島には水がない。だから夫婦は小舟を漕いで近くの島へ行き、水をくんでくる。天秤棒の両端に水を入れた桶をさげ、一歩一歩踏みしめながら、斜面を上っていく。天秤棒がしわむ。夫婦を演じているのは乙羽信子さんと、殿山泰司さんだ。桶には水が満々とある。嘘も仕掛けもないと言わんばかりに、カメラはその様子をロングの1ショットにおさめている。乙羽さんには過酷な撮影だったと思う。

hadaka_1.jpg

この映画には、淡々と流れる音楽と効果音、子供たちの歌声が入っているが、台詞はない。重い天秤棒を担いで斜面を上り下りする姿、杓子で水をまく姿、舟をこぐ姿が繰り返し流れる。乾いた畑は与えられた水を、一瞬にして吸い込み直ぐ乾く。だから何度も何度も水を運ばなければいけない。人間の営みの根幹を映像化した作品である。

最近、映画専門チャンネルで新藤兼人監督の特集が組まれた。放送されたのは本作の他、『愛妻物語』『原爆の子』『人間』『裸の十九才』『ある映画監督の生涯』『落葉樹』『午後の遺言状』『一枚のハガキ』。『午後の遺言状』以外は初見だった。『落葉樹』はかなり面白かった!『裸の十九才』は見応え十分だった。感銘を受け、永山則夫元死刑囚の書いた「無知の涙」を読んだが、散文的かつ、哲学的すぎてチンプンカンプン・・・途中で読むのを止めた。ああいう人間を理解するのは難しい。『一枚のハガキ』の演出は、胸が詰まるほど素晴らしく感動した。『午後の遺言状』は大好きな作品だ。『愛妻物語』と『原爆の子』と『人間』は、ちょっと。。。新藤作品は好きか嫌いか、はっきり別れる。

新藤兼人監督が亡くなられた。偉大な監督であり、脚本家だった。『暁の追跡』(1950年、脚本)を観た直後に、訃報に接し、驚いている。ご冥福をお祈り申し上げます。
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タグ : 新藤兼人

22:30  |  映画  |  TB(1)  |  CM(4)  |  EDIT  |  Top↑

2012.05/29(Tue)

浮草物語

後に小津監督自身によって再映画化された『浮草』のオリジナル版。昭和9年に公開されたサイレント作品である。撮影は茂原式トーキーの開発者で、飯田蝶子さんの夫の茂原英雄氏、そして撮影補助として厚田雄春氏の名前がクレジットされている。調べてみると、厚田カメラマンは『若人の夢』(昭和3年)から小津組に入ったようだ。(ウィキペディアでは『若き日』からとあるが)それ以降、遺作の『秋刀魚の味』まで、小津さんが松竹で撮った、ほとんどの作品に厚田氏はかかわっている。

リメイク版『浮草』は、名カメラマン宮川一夫氏がフィルムを回した。道を挟んで男女がののしり合うシーンはオリジナルにも出てくるが、リメイク版は暴力的などしゃぶりになっていて、異様な感じだ。小津作品に雨のシーンは珍しく、オリジナル版『浮草物語』では、雨で旅の一座の侘しさを表している。田舎村の芝居小屋で公演している時、ポツポツと天井から雨粒が落ちてくる。タライやバケツが持ち込まれるが、本降りになった雨は舞台と客席を容赦なく濡らしていく。雨漏りがするような、おんぼろ小屋で一座は芝居をしているのだ。リメイク版には、この雨漏りシーンがない。昭和30年代になると、雨漏りするような小屋はもうなくなっており、削ったのではないだろうか。リメイク版の設定は昭和30年代の伊勢志摩に変更されている。(入場料が50円、駅の観光ポスターに伊勢志摩の文字がある)

ストーリーは。
とある田舎の村に「市川左半次一座」が4年ぶりにやってきた。座長の喜八(坂本武)、その愛人・おたか(八雲理恵子)、おたかの妹分のおとき(坪内美子)アマ公(山田長政)、とっつぁん(谷麗光)とその孫の富坊(突貫小僧)ら一行だ。アマ公がビラを撒いて芝居の開催をふれまわる。その後をついていく子供たち。娯楽の少ない時代の田舎町では、一座の来訪を心待ちにする人も多かっただろう。

小料理店の女将・かあやん(飯田蝶子)も、喜八の到着を心待ちにしていた。かあやんは「お前さん、もう来てくれる時分だろうと思って待ってたんだよ」と、満面の笑顔で喜八を迎え入れた。かあやんと喜八は子までなした仲である。息子の信吉(三井秀男)は去年、農学校を卒業して今は補習科へ通っている。来年は兵隊検査だ。喜八のことを父とは知らない信吉も「芝居のおじさん」との再会を喜ぶ。大きくなった信吉を見て喜八は「甲種だな」と満足そうに言う。兵隊検査には甲・乙・丙の3段階があり、身体頑健な者は甲種合格となった。ちなみに小津監督は甲種合格しており、ちょっと自慢が入っている台詞かも(笑)。甲種合格は大変名誉なことだった。

喜八と信吉が並んで川釣りをするシーンは、『父ありき』の笠智衆さんと佐野 周二さん親子が見せた動きと同じである。長い竿を放物線を描くように、右から左へ何度も何度も動かす。呼吸の合った動きは親子ならではということか。将棋をさす姿も親子の情感溢れるシーンだ。息子の学生帽を被った父親の嬉しそうな顔、息子は父の手ぬぐいを頭に載せて勝負に熱中している。
ukigusamonogatari.jpg

この時の喜八演じる坂本武さんの品の悪さ(笑)。膝を立て、トウモロコシをくわえ、体を掻きながら将棋を指している。我が子に父親と名乗れないのは、こういう仕草が身についてしまった旅芸人の性分を、恥じているからに他ならない。「やくざな親父なら ない方がましだよ」と、喜八は寂しそうにつぶやく。昭和の始めは今と違って、旅役者への偏見があった。

やがて、かあやんと喜八の関係は、愛人・おたかの知るところとなり、ひと悶着が起こる。かあやんの店にやってきて嫌味を言うおたかに腹を立てた喜八は、彼女を雨の降りしきる外へ引っ張り出し叱りつける。「手前なんかの出しゃばる幕かい!」このシーンはリメイク版の見せ場だが、オリジナル版では、ふたりは立ち止まったまま。バストショットの切り返しで会話が進行し、フルショットは一瞬だけである。雨はさほど強調されていない。技術的に、難しかったのだと思う。

気のおさまらないおたかは妹分のおときに、信吉を誘惑するよう命じる。始めはだまそうとした「おとき」だが、次第に二人は愛し合うようになった。それを知った喜八は怒り、おたかと別れ、かあやんと暮らす決心をする。しかし、「おとき」との仲を認めない喜八と信吉は、激しく対立する。が、「おとき」の真心を知った喜八は、かあやんに後を託し別れを告げた。息子に肩身のせまい思いをさせたくないからだ。喜八は一座を解散し、別の土地で浮草稼業を続けることになった。旅の駅には「おたか」がいて、同じ汽車に乗り、上諏訪を目指す。夜汽車の中、酒を酌み交わす二人には諦観と安堵の表情を浮かべる。小津映画には様々な親子が登場するが、本作の親子は、ほろ苦くやるせない。

タグ : 小津安二郎

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2012.05/28(Mon)

映画史に残る演技ベスト200

追想4月2日に配信された、新鮮味に欠ける情報ですが。。。

jack_1.jpg

英Total Film誌が、「映画史に残る演技ベスト200(The 200 Greatest Movie Performances of All Time)」を発表した。第1位に選ばれたのは、アカデミー賞の作品賞ほか主要5部門を制した「カッコーの巣の上で」(75/ミロス・フォアマン監督)に主演したジャック・ニコルソンの演技。精神病院を舞台に人間の自由と尊厳を描いた傑作で、主人公マクマーフィを演じたニコルソンも、初のアカデミー主演男優賞に輝いた。

なお、今回のランキングは1人の俳優に付き1作品のみが対象となっている。日本人俳優は、48位の「東京物語」の原節子を最高位に、72位に「用心棒」の三船敏郎、130位に「生きる」の志村喬がランクインしている。

ベスト50までは以下の通り。

1.ジャック・ニコルソン「カッコーの巣の上で」
2.ロバート・デ・ニーロ「レイジング・ブル」
3.ダニエル・デイ=ルイス「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」
4.アル・パチーノ「ゴッドファーザーPARTII」
5.エミリー・ワトソン「奇跡の海」
6.マーロン・ブランド「波止場」
7.デンゼル・ワシントン「マルコムX」
8.ジェーン・フォンダ「コールガール」
9.ポール・ニューマン「ハスラー」
10.リーアム・ニーソン「シンドラーのリスト」
11.メリル・ストリープ「ソフィーの選択」
12.ジーン・ハックマン「カンバセーション…盗聴…」
13.マイケル・ケイン「狙撃者」
14.ジェームズ・スチュワート「めまい」
15.トム・クルーズ「マグノリア」
16.ジョディ・フォスター「告発の行方」
17.シルベスター・スタローン「ロッキー」
18.ヒラリー・スワンク「ボーイズ・ドント・クライ」
19.ピーター・オトゥール「アラビアのロレンス」
20.ベティ・デイビス「イヴの総て」
21.ケイト・ウィンスレット「エターナル・サンシャイン」
22.ジャック・レモン「アパートの鍵貸します」
23.ヒース・レジャー「ダークナイト」
24.ダスティン・ホフマン「卒業」
25.ショーン・ペン「カリートの道」
26.リブ・ウルマン「仮面 ペルソナ」
27.ダイアン・キートン「アニー・ホール」
28.ゲイリー・オールドマン「The Firm(日本未公開)」(BBC/アラン・クラーク監督)
29.アンソニー・パーキンス「サイコ」
30.ミッキー・ローク「レスラー」
31.マリア・ファルコネッティ「裁かるゝジャンヌ」
32.スティーブ・マーティン「2つの頭脳を持つ男」
33.グロリア・スワンソン「サンセット大通り」
34.デビッド・シューリス「ネイキッド 快楽に満ちた苦痛」
35.ジェニファー・ローレンス「ウィンターズ・ボーン」
36.バート・ランカスター「成功の甘き香り」
37.ロバート・デュバル「地獄の黙示録」
38.ラッセル・クロウ「グラディエーター」
39.シシー・スペイセク「キャリー」
40.ピーター・フィンチ「ネットワーク」
41.ジョー・ペシ「グッドフェローズ」
42.マイケル・ファスベンダー「SHAME シェイム」
43.クラウス・キンスキー「アギーレ・神の怒り」
44.ケビン・スペイシー「ユージュアル・サスペクツ」
45.ジョージ・クルーニー「ファミリー・ツリー」
46.ジョン・ウェイン「捜索者」
47.マルコム・マクダウェル「時計じかけのオレンジ」
48.原節子「東京物語」
49.レイ・ウィンストン「ニル・バイ・マウス」
50.ジャン=ポール・ベルモンド「勝手にしやがれ」

余は満足じゃ 異議なし!の結果なのですが、ダスティン・ホフマンの24位というのが、ちと不思議でありまする。
00:05  |  映画  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

2012.05/26(Sat)

代々木公園

代々木公園に来ています。『山の音』で原節子さんと山村聡さんが歩いてた路はどこかしら?

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17:15  |  ワンコとお出かけ  |  TB(0)  |  CM(2)  |  EDIT  |  Top↑

2012.05/25(Fri)

ダーク・シャドウ

霧が立ち込めるリバプールの港に、幾艘かの船が停留している。時は18世紀の半ば、船首に施された魔除けの彫刻が時代を伝える。タラップを上っていく少年を見送る少女。横にいる女が「坊ちゃまの顔をみてはいけない、身分が違うのだから」と、少女をたしなめた。ティム・バートン監督らしい色彩世界で映画は幕を開ける。

それから何年か経った。少年一家は新天地のアメリカで成功を収め、バーナバス(ジョニー・デップ)は健やかに成長していた。不慮の事故で命を落とした両親の後を継ぎ、コリンズ家を束ねつつ、恋を重ねていくバーナバス。そんな彼のハートを射止めたのは、美しく清らかなジョゼット(ベラ・ヒースコート)だった。しかし、二人の愛は実ることなく散ってしまう。バーナバスに遊ばれ捨てられてたメイドのアンジェリーク(エヴァ・グリーン)が、実は魔女で、二人に呪いをかけたからだ。ジョゼットは、岸壁から海へ身を投げ、その後を追って死のうとしたバーナバスは、ヴァンパイアにされ棺の中で生かされ続ける。

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時はさらに流れ、舞台は1972年へと移る。ダークな世界から一転し、明るい空の下を列車が猛スピードで駆け抜けていく。200年の時の経過を色彩で表すのが心憎い。それは『バットマン』の闇黒でも、『マーズ・アタック』のキッチュでカラフルな世界でもない天然色の世界である。

ティム・バートン作品は『ビートルジュース』以降は全て観ている。どの作品にもバートン印が押されているのがいい。ティム・バートンは作家性の強い監督で、独自のこだわりをもって作品を作っている。こういう監督は失敗作が少ないように思う。模索しながら作品を作っていくタイプの監督ではなく、意表をつくイメージの飛躍は求められていないからだ。したがって、バートン調から外れた作品の評価が低くなるのはわかるとしても、今までの作品と比べ、本作が劣っているとする意見には承服しかねる。もっとも、バートン作が苦手な人や笑いを求めた人には、単調な映画と映ったことだろう。

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ヴァンパイアのバーナバスは蘇る。彼曰く、黄色い鉄の爪を持った化け物(ショベルカーのこと)によって掘り起こされたらしい(笑)。バーナバスが人間だった頃、父親は「唯一の財産は家族」と言ってきかせていた。この教えは、ヴァンパイアになった今でも有効らしく、彼は、没落寸前の子孫を救うために奮戦する。だが、優しさは家族であるコリンズ家の人々と、かつての恋人と瓜二つのビクトリアにのみ、向けられており、他者には手厳しい。ヴァンパイアなのだから血を吸わなければいけない。自分を掘り出してくれた工事現場の作業員や、しみじみと人生を語り合ったヒッピーたちの首に、牙を食い込ませることに罪悪感はないようだ。ただし、血を吸うシーンはスピーディな場面展開によって残酷感が薄められている。

コリンズ家再興の最大の弊害は、バーナバスをヴァンパイアに変え、一族から繁栄を奪った魔女アンジェリークである。彼女は200年もの間、変わらぬ姿で生き続け、バーナバスへの恨みを心の奥にしまいこみ、街を牛耳ってきた。愛と憎しみは紙一重なのか、二律背反の思いが、彼女の心に芽生える。ヴァンパイアと魔女が激しくやり合うシーンは、アニメの暴力描写のようなもので、いかにもバートンらしく描かれている。バーナバスとの戦いに敗れ、ハートを差し出し涙するアンジェリークは、バートン監督が繰り返し描いてきた哀しきフリークスである。白塗りのバーナバスは異形ではあるが悲劇的は要素を持ち合わせてはいない。滑稽であっても、コリンズ家の人々に受け入れられ、ビクトリアとの愛を成就させるのだから。本作は奇妙なロマンスとペーソス、あるいはコメディが同居する、全く怖くないホラー作である。

タグ : 映画感想

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