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2012.05/09(Wed)

お茶漬の味

路面電車の走る道。ハイヤーの後部座席には、佐竹妙子(木暮実千代)と、姪の節子(津島恵子)が乗っている。車は皇居のお堀に沿うように走っていく。続いてカメラは、オフィスの窓越しに、銀座の和光ビルを写し出す。数体のマネキンが置かれてたオフィスで働くアヤ(淡島千景)は、首にメジャーをかけている。ここはオーダーメイドの洋装店かな。銀座の、しかも和光の近くとくれば、超高級店に違いない。経営者のアヤに、従業員が妙子と節子の来訪を告げる。「ごきげんよう」と交わす挨拶と身のこなし、彼女らは上流階級の人間として描かれている。しかし、木暮さんは有閑マダムというよりも水商売の女の人っぽい(汗)。いなせということにしておこう(笑)。

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妙子の夫・茂吉(佐分利信)は物産会社で機械部長をしている。いったい、どれほどの収入があるのだろう?たいそう立派な家に住み、お手伝いさんを二人置いている。夫婦に子供はいない。だからだろうか、妙子さん、やりたい放題だ(笑)。病気になった友人を見舞うとウソをつき、女友達と旅行するなんてことは序の口。夕げの席で自分の夫のことを、モッそりしているだの、鈍感だの、悪口を言って、場を盛り上げている。皆で「スミレの花咲くころ はじめて君を知りぬ・・・」と、女学校時代を懐かしんで歌う姿に、罪悪感は微塵も感じられない。旅館の鯉に餌をやりながら「鈍感さん、召し上がれ!召し上がれ、鈍感さん、あなた、会社でお腹おすきになっても存知ませんことよ」と笑うのは、冗談がすぎやしないか、ちょっと悪趣味。

妙子はうんざりしているのだ。庶民的な夫と退屈な毎日に。妙子は資産家の娘で、彼女の贅沢な生活は実家の援助によってまかなわれている。だからと言って、夫をバカにし、遊びまわってよいということにはならないと思うのだが・・・。茂吉も茂吉である。ボーっとしていて何を考えているのか、捉えどころがない。こういう人間を楽な相手と思うか、張り合いがないと感じるか・・・微妙だなぁ。茂吉は夫婦仲がしっくりしていないことを「仕様がない」と諦めている。そういう態度が妙子を苛立たせるのだと思う。どっちもどっち、それぞれ言い分もあろう。

夫婦は姪の見合い話のことで喧嘩をする。といっても、妙子が一方的に腹を立てているにすぎないのだが。そういう時は、相手のやることなすこと全てが鼻につく。お味噌汁をご飯にかけて食べる茂吉に「あなた、そんなご飯の食べ方よして頂戴」「うん?うっかりしてた」深窓の令嬢から見れば、犬の食べ方だ(笑)。「わたし、イヤだと申しあげたでしょ」田舎の貧乏な家に生まれた茂吉と妙子は育った環境が違う。自ずと考え方や価値観も違っている。茂吉は安くても美味しい物を好む。汽車は気がおけなくて楽な三等が好きだ。だから、夫婦生活も遠慮や気兼ねのないものにしたいと願っている。このように、ふたりの価値観が違う場合は、どうすればいいのだろう?別れるしかないのかな(汗)。幸いにも、この夫婦は夫の海外赴任をきっかけに溝をうめることができた。盛大に見送られて飛行機に乗った茂吉が何食わぬ顔をして戻ってきたり、妙子が突如、お茶漬の味に目覚めるというのは腑に落ちないけど。。。佐分利さんが演じた家長の姿に戦後を感じる。
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タグ : 小津安二郎

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