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2012.08/23(Thu)

ぼくのエリ 200歳の少女

音も色も排除したオープニング・クレジット。小さな文字でキャストとスタッフが綴られていく。沈黙を破るのは、暗闇に舞う雪の音。はて?雪はしんしんと降るものだから、キラメキの粒はみぞれかもしれない。画面には、アパートと雪の積もった中庭が映し出され、そこに声が重なる。「豚みたいに泣け、泣いてみろ」雪景色にオーバーラップで現れた少年が、声の主であろう。中年の男のショットを挟んで、カメラは再び少年を捉えた。先ほどの映像は、中庭を見つめる少年の、窓ガラスに写った姿だったんだ。その手にはナイフが握りしめられている。謎めいた光景が観る者の興味と緊張を高める。

eli.jpg

『ぼくのエリ 200歳の少女』というタイトルは聞いたことがあったが、内容は全く知らなかった。今回、wowowの吹き替え版にて鑑賞。見始めて10分ぐらいして、本作が普通のドラマではないと分かった。なぜなら、猟奇的な殺人シーンに遭遇したからだ。中年の男が若い男を殺した後、遺体を逆さづりし、遺体から流れる血を瓶に集めている。いったいなぜ?殺人者は普通の男で、こんな残忍な行為をするようには見えない。異変を嗅ぎつけ、寄ってきた犬には危害を加えず、現場を後にした。殺人を楽しんでいるのではない!血がほしいのだろう。ここで、本作がヴァンパイアものであることに気付いた。

前述した少年オスカー(カーレ・ヘーデブラント)は母とふたりで暮らしている。学校ではいじめを受けており、友達はいない。傷ついた心は行き場を失い、孤独という闇の世界を漂っている。ある夜のこと、アパートの中庭で少年は不思議な少女と出会う。少年の心を見透かしたように彼女が言った。「友達にはなれないよ、悪いけど」このなにげない台詞の意味することを少年が知るのは、もう少し後になる。少女の名はエリ(リーナ・レアンデション)、永遠の12歳。人の血を吸って生き続けている。

人間とヴァンパイア・・・ともに歩んでいくことなど不可に思われる。しかし、孤独な二人は、次第に心を通わせていく。エリはヴァンパイアではあるけれど、その心には優しい血が通っている。少年にもらったキャンディを、無理して食べるシーンにホロリとさせられた。人間の食べ物など、体が受け付けないと分かっているのに、少年の気分を害してはいけないと思ったのだろう。少年から匂うと言われれば、お風呂に入る。そういう健気な少女なのだ。

最近、ヴァンパイア映画の人気が高いそうな・・・。「トワイライト」シリーズや「ダーク・シャドウ」のヒットが記憶に新しい。どちらもヴァンパイと人間の恋愛をデフォルメして描いている。これに対し、本作はマンガっぽい表現を極力避け、落ち着きと気品の中で、愛が醸成されていく。少女の正体を知った時の、少年の反応が良い。戸惑いながらも受け入れる・・・未完成な心は柔軟に対応できるのだと思った。少女のために血を集めていた中年の男も、遠い昔、少女と恋におちたのではないだろうか。少女と歩むためには人を殺さなくてはいけない。少年の未来をを予言しつつ、映画は幕を閉じる。映像の美しさと柔らかさが心に残る映画。
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タグ : トーマス・アルフレッドソン

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