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真夜中のカーボーイ
2008-06-12 Thu 22:03
midnightcowboy.jpg
原題:MIDNIGHT COWBOY
監督: ジョン・シュレシンジャー
原作: ジェームズ・レオ・ハーリヒー
脚本: ウォルド・ソルト
撮影: アダム・ホレンダー
メイクアップ: ディック・スミス
音楽: ジョン・バリー
上映時間 113分
1969年 アメリカ映画
出演: ジョン・ヴォイト、ダスティン・ホフマン、シルヴィア・マイルズ、ジョン・マッギーヴァー、ブレンダ・ヴァッカロ


「いやあ、映画って本当にいいもんですね」のセリフで親しまれた水野晴郎さんが亡くなりました。『真夜中のカーボーイ』という邦題は水野さんによるもの。カウボーイではなく、カーボーイにしたことが不思議です。どうしてでしょうね?

ジョン・ヴォイトの初々しい事!今や、どぎつい悪役で強烈な印象を残す俳優さんですが、若い頃はとっても可愛かったのです。本作の2年前、『墓石と決闘』がデビュー作。あのアンジェリーナ・ジョリーは彼の娘です。

テーマ曲「うわさの男」が流れる中、軽やかな足取りのジョー・バック(ジョン・ヴォイト)をカメラは追います。テキサスの陽射しを眩しそうに手でさえぎり、スーツケースを手に希望を胸に、向かうはニューヨーク。ジゴロの生活を夢みての旅立ちでした。性的なパワーを無邪気に信じ込んでいるジョーが可笑しいです。

しかし大都会ニューヨークは、かつてのように、アメリカンドリームを実現するための街ではありませんでした。過酷な現実に直面し、ジョーの顔からは輝きが消えます。お金が底をつきホテルを追い出されたジョーに手を差し伸べたのは、肺病で足が不自由なネズ公ことラッツォというコソ泥。親切心というよりも、一人では生きていけない弱者の選択でしょうね。社会から疎外されたふたりが肩を寄せ合って、貧しさと寒さに震える姿が哀れ。魂がちぎれてしまいそう。

ニューヨークの華やかさの裏にある腐敗した生活。全編に影を落とす同性愛、売春、貧困といったアメリカの病巣。『踊る大紐育』のような、活気溢れる明るいニューヨークばかりがニューヨークじゃない。『ティファニーで朝食を』ではティファニーのウィンドーの前でパンをかじるオードリーがいました。本作にも出てくるティファニーの前では人が倒れています。その横を知らんふりして通り過ぎて行く人々。夢見る時代の終わりを象徴するシーンです。

と、かなり暗い作品です(汗)。ただ、友情物語と捉えるならば、救いがありそうですね。寒々とした生活から抜けすため、暖かなマイアミへと向かうバスの旅・・・・それがラッツォの望みでした。カウボーイハット、シャツ、ブーツを捨てることが過去との決別を意味します。衰弱したラッツォに、ヤシの木がプリントされたアロハシャツを着せてやったジョーの想い・・・・もう、汚いドブ鼠じゃないよって。力なく微笑むラッツォは親友の横で息をひきとります。最期だけは孤独でなかったと思いたい・・です。アカデミー賞の作品賞、監督賞、脚色賞を獲得した、時代を映し出した秀作。アメリカ文明への強烈な批判が痛い作品です。

水野晴郎さんのご冥福をお祈りします。
別窓 | アメリカン・ニューシネマ | コメント:8 | トラックバック:1 |
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この記事のコメント
この映画、もう一度見直さなくっちゃ。確かに見た覚えがあるのですが・・・・昨日、友人からTelで、映画のこと言ったきました。京都、日独会館で10日間、面白い映画をやるって。彼女は映画のスクリプターをやっていた高校の同級生で、会うと口角泡を飛ばしてって感じで、夢中で映画の話ばかり。私が見て、この映画は凄いと思ったのは、最近では「サラエボの花」「ラスト キング オブ スコットランド」映像的に忘れられないのが、もう大分前ですけど「エレニの旅」「カンダハール」・・・そんな話を電話口で延々。「丘を越えて」は今日限り。行けません。「ジェリー フィッシュ」も行けそうにありません。ゆっくり素晴らしい映画を見たいです。日独会館の10日間もちょっと無理。間もなく旅に出ます。
2008-06-13 Fri 07:50 | URL | 山口ももり #-[ 内容変更] | top↑
です。もう一度観直さなければ。
テレビで少し観ただけなのです。
ホテルのテレビにウルトラマンが映っていたのが、
強烈に覚えています。
こんなことばかり記憶しています。
バスの中で相棒が死んだシーンも眼に焼きついています。
2008-06-13 Fri 08:01 | URL | スタンリー #-[ 内容変更] | top↑
山口ももりさんへ
この映画はベトナム戦争を背景とし、アメリカの混沌を描いています。秋葉原で起こったような悲惨な事件の報道に接すると、この手の映画を見直したい気持ちになります。平和な時代に観ても、ピンとこない映画かもしれませんね。

スクリプターをやられていたお友達がいるのですか、業界人ではありませんか?!
>夢中で映画の話ばかり・・・私の友達は自分の家族のことばかり永遠にしゃべっていますよ(笑)。いい加減に聞いていると「聞こえてる?」って(汗)。相槌を上手に入れないといけないのですよね〜。

「ラスト キング オブ スコットランド」は、この映画でフォレスト・ウィッテカー がアカデミー賞の主演男優賞に輝きましたね。授賞式のスピーチに感動しました。今まで脇役が多かった俳優さんの、一世一代の名演が賞賛されていましたね。これはwowowで放送されたら是非、観たいと思っている映画です。

あの問題作??菊池寛事件??の映画ですね(笑)。おやっ、今日までですか。もうひとつの問題作??「ジェリー フィッシュ」も、観に行けないのですか〜それは残念です。感想を楽しみにしていたのですが・・・。
「サラエボの花」「カンダハール」とも政治的な映画ですよねぇ。ももりさんの意識の高さを尊敬しています。

えっ!旅に出られるのですか。今度はどちらに?
2008-06-13 Fri 11:52 | URL | マーちゃん #jIgFQiZc[ 内容変更] | top↑
スタンリーさんへ
ウルトラマンが映っていましたか。それは気づきませんでした。あとで見直してみましょう。細かいところを覚えてらっしゃいますね〜。ストーリーは忘れても、部分的に覚えている映画ってありますよね。って、私の場合、大部分の映画がそうですが(笑)。

バスの中でダスティン・ホフマンが死んでしまいましたね〜。アメリカン・ニューシネマの決まり事とはいえ、可哀相でした。ダスティン・ホフマンが巧すぎる演技を観客に見せつけた映画だと思います。一方のジョン・ヴォイト、昔はヘタだなぁと思っていたのですが、今観ると、かなり秀逸です。あのやぼったさは演技だったのですね。ラストは本気で泣きました。
2008-06-13 Fri 12:04 | URL | マーちゃん #jIgFQiZc[ 内容変更] | top↑
印象に残る映画でした。何処かに「ブロークバック・マウンテン」の原点が此処にあるような気もします。しかし、私はこちらの方が好きです。これ一重に、ダスティン・ホフマンの“神の演技”によるものと思われますが。
マーちゃんが冒頭に提示された疑問。真相は天国の水野さんに聴いてみないと分からないのでしょうか。そういわれれば私は何となくカーボーイと読んでいましたが、本来はカウボーイの筈ですね。(笑)
これは私個人の推測に過ぎませんが、カウボーイでは真面目すぎると、この映画の反響を呼ぶようにと、水野さんは、カーボーイとされたかも??。と、ふと思いました。水野さんの発想が見事当たって、この映画は不滅の光を放っていますね。カウボーイの姿が見られなくなった(と思う)今日に於いても。
2008-06-13 Fri 12:19 | URL | アスカパパ #xq6o7d/.[ 内容変更] | top↑
アスカパパさんへ
そうそう、そうですね!!「ブロークバック・マウンテン」の原点を見ることができる映画ですね〜。カウボーイにはゲイが多いとダスティン・ホフマンが言ったとき「じゃぁ、ジョン・ウェインはゲイか!」とジョン・ヴォイトが怒るシーンがありました。カウボーイは家族と離れて、牛と移動するから、そういう偏見を持たれているのかもしれませんね。
ダスティン・ホフマンとジョン・ヴォイトの友情には、恋愛感情も含まれているような気がしました。でも、それは精神的なもので、そこが「ブロークバック・マウンテン」と違うところですね。

>ダスティン・ホフマンの“神の演技”
ほんと、凄い演技でしたね〜。バスの中、死の匂いを漂わせながらも、わずかな希望にすがりつく男を演じきっていました。

カーボーイだと、おっしゃるように遊び心がありますね。暗い映画なので、邦題くらいはハメを外しかかったのかも・・・笑。そうかぁ、たしかに水野さんの発想が当たって話題になり、多くの人が、この作品を観て感動し、不滅の光を放ち続けていますものね。アスカパパさんは発想が柔軟ですねぇ。私はてっきり、水野さんのケアレスミスで、周りもそれに気づかなかったのかと思いました。そんな訳ないですよねー(笑)。
2008-06-13 Fri 13:09 | URL | マーちゃん #jIgFQiZc[ 内容変更] | top↑
007/危機一発
もそうでしたが、水野さんは物議をかもすような
タイトルをつけることがありましたね〜。^^
おっしゃるように、宣伝マン一流の感性と計算だった
のかもしれませんね。
たしか、のちに水野さん本人が、この映画のテーマが
物質至上主義の近代文明(NY)の皮肉だったので、
その象徴の車(カー)にひっかけたと言ってましたが。。
でもそれはネーミングの評判が悪かった言い訳の様な。苦笑
2008-06-14 Sat 20:19 | URL | ぱんだうさぎ #mQop/nM.[ 内容変更] | top↑
ぱんだうさぎさんへ
「007/危機一発」は素直に「ロシアより愛をこめて」にしておけばよかったものを・・・・。「カーボーイ」はカウボーイにしておけばよかったものを・・・・苦笑。
水野先生のオチャメぶりが出ている邦題ですね。シベQシベ超は、こういった感性から生まれたのでしょうか。。。。ほんと、楽しい方でした。
でも、この邦題のせいで、カウボーイのことをカーボーイだと思いこんでいました。少し考えればカウとボーイでカウボーイだとわかるはずなのに・・・。はっきりと「かあぼうい」と発音していました。まっ、水野さんのことを責める資格なんてないのですけれど(笑)。
今は勝手に邦題をつけれないそうですね。審査が厳しいのだとか・・・。近頃は原題をそのままカタカナ表記したものが多いですね。それだと、私のような人間はタイトルが覚えられない(汗)。もっとも、おフランスの映画は、おしゃれな邦題をつけてもらっているようですが。
そうですかぁ、先生ったら、そんな苦しい言い訳をなさっていたのですね。あの名解説が懐かしいです。
2008-06-14 Sat 20:55 | URL | マーちゃん #jIgFQiZc[ 内容変更] | top↑
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2008-06-13 Fri 12:01 アスカ・スタジオ
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