2017年06月/ 05月≪ 123456789101112131415161718192021222324252627282930≫07月

--.--/--(--)

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--:--  |  スポンサー広告  |  EDIT  |  Top↑

2010.03/08(Mon)

ハート・ロッカー

アカデミー賞の中継を観た。注目の作品賞と監督賞は『ハート・ロッカー』が受賞。当然の結果だ。リアリズムに徹している点では『U・ボート』(1981)、サスペンス的面白さでは『ジャガーノート』(1974)を思い起こす。ずばり、この映画の醍醐味はとぎれることなく続く緊迫感であろう。一寸の隙もないパーフェクトな作品だと思う。各シーンに無駄がない。説明的なセリフや、これみよがしの反戦思想、観客の涙を強制するセンチメンタルなシーンは排除されている。戦地の緊迫を伝えるのは兵士の額に流れる汗、顔にたかったハエを気にとめる余裕はない。顔のクローズアップで兵士の心理状態を深く掘り下げる巧みな描写だ。傍観者のつもりが、私もいつしか地獄を見ていた。これほど強烈なインパクトをもつ映画にはめったにお目にかかれない。マイベスト映画に追加。

hurt.jpg

舞台は2004年のイラク。起爆装置を乗せた遠隔ロボットが現代の戦争であることを観客に再認識させる。市街地では日常の仕事のように爆弾処理が行われている。終わった戦争の後始末なのか・・・・。その時、ひとりのアラブ人の携帯電話が爆発の誘因となり悲劇が起こった。イラク戦争は終わっていないのだ。

評価の定まっていない戦争を映画化するの非常に難しい思う。その点、第二次世界大戦は描きやすい。戦争においては勝者が正義なのだから、ドイツを筆頭とする枢軸国を連合国がやっつける様子を見せれば映画になる。ノルマンディ海岸や硫黄島に上陸しようとするアメリカ兵を、陸から狙うドイツ兵や日本兵がいて、悲惨な映像を見せた後、アメリカが逆襲するというパターンの焼き直しが目立つ。ベトナム戦争映画は戦場の狂気を見せれば評価が得られた。アメリカはベトナムに勝てなかった。勝てなかった戦争はアメリカ人から見れば悪い戦争である。そして厭戦気分から映画が生まれた。

イラク戦争はどうだろう?あれは何だったのだろう?何があったのか、今はどうなっているのかを知ることから始めなければならない。本作は爆発物処理班の仕事を通じて、イラクの今を私たちに教えてくれた。敵の姿が見えない戦争、すれ違った人が敵かもしれない不気味さが恐怖を煽る。過去の戦争映画の重要なモチーフだった人間ドラマを割愛し、爆発物処理のスペシャリストの仕事ぶりに的を絞ることにより、芯のある作品に仕上がったのではなかろうか。演じるのは無名に近い役者。ありふれた人間ドラマなどにはしないという監督の意図がうかがえる。地獄のるつぼに投げ込まれた人間には、その中で生きていることがドラマなのだから余分な演出は無用。張りつめた緊張の糸は最後まで解きほぐされなかった。秀作。

キャスリン・ビグロー監督がアカデミー賞史上初の女性監督による監督賞を受賞した。プレゼンターはバーブラ・ストライサンド。彼女はどう思ったのだろう・・・。

タグ : 映画感想

18:00  |  映画  |  TB(3)  |  CM(4)  |  EDIT  |  Top↑

Comment

●こんばんは。

緊迫感が続く映画でしたね。観ているほうさえ、そうなんだから、その場にいたら、どんなふうになっちゃうんだろう、ということを思いました。
どこに敵がいるかわからず、周囲に対して気を抜けないアメリカ軍の立場も、よく見えました。リアル。

アカデミー賞の作品賞は、うれしいですね。やっぱり、評価してほしいのは中身、ストーリーです。
ボー | 2010.03.08(月) 20:53 | URL | コメント編集

●ボーさんへ

これ、ほんとうに面白かったです!手を握りしめ、かたずを呑んで見入ってました。映画技術もさることながら、人間観察力に長けた映画ですね。

太平洋戦争を体験した人が言うには、戦場に1週間いたら、感覚が麻痺するのか、恐怖を感じなくなるのですって。慣れなんでしょうね。それって、とっても怖いことですよね。

市街地が舞台で四方にいる人々の視線も恐怖を助長するように思いました。気が抜けないですよね。

アカデミー賞の授賞式は生放送で見ました。監督賞にキャスリン・ビグローの名前が呼ばれた時、これで作品賞もいただき~っと思いました。受賞スピーチにも感動しました。
対抗馬のあの作品が取ったら、暴れるところでしたよ(笑)。
マーちゃん | 2010.03.08(月) 22:34 | URL | コメント編集

●快挙でしたね

この映画の存在をまったく知らなかったのですが、今朝テレビの特集で数シーンを拝見しました。ステディカムを使わず深作演出的、手持ちブレブレ映像で臨場感がありました。オーソドックスなパイロテクニックを使っていましたが、CG処理はないようですね。アバターとは全く性質の違う、アバターより低予算のリアリズムの映画が賞をほぼ独占したのには、アメリカのアカデミー選考委員会もまだ捨てたものではないと感じました。
アラン・墨 | 2010.03.09(火) 11:40 | URL | コメント編集

●アラン・墨さんへ

凄い映像でしたよ。音の使い方にもプロの仕事を感じました。ストーリーはあってないようなもので、とにかくリアルな描写の連続でした。臨場感たっぷり、私も戦場にいるような錯覚を起こしました。CG処理ではないのですか!

今朝の朝日新聞に、痛快なことが書いてありました。
「アバター」破れる、評価、映像技術面のみとの大見出しがあり、記事の中で「アバター」は最新のデジタル技術で革新的な3D映像を実現させた。ただ、物語は新味が乏しく、技術面の評価にとどまった・・・。
まったく、その通りなんですよ!映像は素晴らしかったのですが中身は・・・汗。
>アメリカのアカデミー選考委員会もまだ捨てたものではない
そうなんです!映画産業を盛り上げるため「アバター」が作品賞に選ばれるんじゃないかと心配していただけに、「ハート・ロッカー」の快挙が嬉しいです。
興行収入は「アバター」、作品の質は「ハート・ロッカー」ということで、両者ともハッピーなのではないでしょうかねぇ♪
マーちゃん | 2010.03.09(火) 13:29 | URL | コメント編集

コメントを投稿する

URL
COMMENT
PASS  編集・削除するのに必要
SECRET  管理者だけにコメントを表示  (非公開コメント投稿可能)
 

▲PageTop

Trackback

この記事のトラックバックURL

→http://pkolife.blog90.fc2.com/tb.php/670-bfd2610b
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

この記事へのトラックバック

「ハート・ロッカー」

この緊張感の持続は、あまり経験したことがないくらい。もう勘弁してよって言いたいほど。すごく、いい意味ですよ。
2010/03/08(月) 20:43:41 | 或る日の出来事

インビクタス 負けざる者たち

インビクタス/負けざるものたちへ とはどういう話なの? インビクタス/負けざるものたちへ とはどういう話なの?ヤフー映画で4.8点という超高得点をたたき出しているらしいですね。さて、インビクタス/負けざるものたちへ、は、元南アフリカ大統領 ネルソン・マンデラの話...
2010/03/09(火) 02:51:27 | 早く読みたいならここ!逃すなニュース

臨場 ドラマ化 ドラマ

松山に来ました!? 昨年『坂の上の雲』が待望のドラマ化され、松山市内は「坂の上の雲」一色のようです。歩いていてもNHKドラマ「坂の上の雲」のメインテーマやサラ・ブライトマンの歌声が聞こえてくるようです。またちょうど昨年放送された第1話から第5話までのDVD ...
2010/03/24(水) 11:36:38 | 臨場 内野聖陽 松下由樹 渡辺大 伊藤裕子 益岡徹 高嶋政伸 最新情報

▲PageTop

 | HOME | 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。