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2010.07/03(Sat)

ディア・ハンター

切ないギターの調べで映画は始まる。音楽が終わると、それまでの静けさを破るように、1台のトラックがディーゼルエンジンの音をとどろかせて走ってくる。アメリカ、ペンシルベニア州クレアトンの夜明け。鉄鋼の町の朝は早い。画面には溶鉱炉に働く男たちが写し出される。マイケル(ロバート・デ・ニーロ)、ニック(クリストファー・ウォーケン)、スティーブン(ジョン・サヴェージ)は同じ鉄鋼所に勤めるロシア正教の信徒であり、週末には山へ鹿狩りに行く仲間だ。クレアトンはスラブ系移民の町なのだろう。反共の戦いであるベトナム戦争に駆り出されたロシア系の男たちがロシアン・ルーレットを強要されるという設定が登場人物たちの悲劇性を強めているように思う。本作が公開された時、オフコースの小田和正さんがラジオで大絶賛していたので観に行った。秀作に違いないが、秀作然としているところが若干鼻につく(笑)。

deerhunter.png

3時間の映画は、前半のクレアトンの日常、中盤のベトナム戦争、後半の戦争の傷跡の3つのパートに分かれている。前半の見せ場は乱痴気騒ぎの結婚式だ。同じ結婚式でも『ゴッドファーザー』のような大らかさや明るさはない。どこか寒々しいのは、ベトナム戦争の影を感じるからであろう。花嫁の純白のドレスに落ちた、赤いワインのしずくがベトナムの血を暗示している。新郎を含めた青年たちが戦火のベトナムへ出て行った時から、彼らの人生の歯車は狂い始める。

映画は突然、ベトナムのジャングルに飛ぶ。ベトコンが村人たちが隠れている壕の中に手榴弾を投げ込み、赤ん坊を抱いた女を銃で撃ち殺す。解放軍はこんなむごいことをやったのだろうか。この後も、映画はベトコンの残虐さを描き続ける。捕虜となったマイケル(ロバート・デ・ニーロ)たちをロシアン・ルーレットの賭けの材料にするのだ。ベトコンは捕虜を水につけ、二人一組で床に引きずりあげ、一発だけ弾丸の入った回転式銃の引き金を引かせる。じわじわと迫る恐怖、画面から目をそらすことができない。鹿狩りでマイケルがこだわっていた「鹿は一発で仕留める」はロシアン・ルーレットの一発か、敵を倒す一発か、ニックとの対戦の一発か・・・いずれにせよ、重い一発である。マイケルらは脱出し死は免れたものの、ニック(クリストファー・ウォーケン)とスティーブン(ジョン・サヴェージ)にとって、この試練はあまりにも過酷であった。ニックは精神に異常をきたし、スティーブンは半身不随となる。

故郷に戻ったマイケルはもうかつてのマイケルではなかった。鹿狩りに出ても鹿を一発で仕留めようとはしない。沈黙は以前のままだが、瞳の奥にやるせなさをたたえている。彼の視線はベトナムに向けらたままだ。帰ってこないニック(クリストファー・ウォーケン)への思いを断ち切れないマイケルは再びベトナムに赴く。そしてロシアン・ルーレットの賭博場で変わり果てたニックと再会する。出征前、ニックはマイケルに「おれの身に何がおきても、どうか置き去りにしないでくれ、見捨てないでくれ」と言った。その約束を果たすことになる一発の引き金を引いたのはニックだった。結婚式で始まった映画は葬式で終わる。ラストの『ゴッド・ブレス・アメリカ』の合唱がなんとも空しい。

テーマ : 色あせない名作 - ジャンル : 映画

タグ : 70年代の映画

08:56  |  映画  |  TB(0)  |  CM(2)  |  EDIT  |  Top↑

Comment

●こんばんは!

この映画は、昔1回観ただけですが、ロシアン・ルーレットが強烈に印象にありますね。
これで、はじめて知ったかもしれません。
その他が、うろおぼえで…。昔に見た映画は、見直さないと、見たことにならないかも(苦笑)。
ボー | 2010.07.03(土) 19:25 | URL | コメント編集

●☆ボーさんへ

コメントありがとうございます。
私は4回くらい観ているのですが、やはりロシアン・ルーレットの場面が一番印象的です。
(細かい部分はほとんど記憶に残ってません・汗)
私も昔観た映画は、最低3回は観ないと、観たことさえ忘れてしまいます!
クリストファー・ウォーケンの美しさにびっくりですよ。今はコメディもこなすオールマイティーな役者さんとして活躍してますね♪
マーちゃん | 2010.07.03(土) 22:33 | URL | コメント編集

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