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2011.12/01(Thu)

楢山節考

今村昌平監督版(1983)は観ているが、木下恵介監督の1958年版は観たことがなかった。圧倒された。

narayama.jpg


冒頭、歌舞伎の黒衣のような者がことわりを言う。「姥捨ての伝説より楢山節考・・・」続いて、虚構であることを強調するかのような、舞台風セットが現れる。その下手から東野 英治郎が姿を出し、ひたすら歩く。遠くの山々は明らかに絵だとわかる。バックに流れる長唄も芝居感を強める要素のひとつ。ただ、セットをつなげることにより、山あり谷ありの風景が動きをもって目に入ってくる。

楢山は村人の信仰の対象となっている。村では数え年70になる住人は、息子に背負われ楢山に入り、そのまま置き去りにされ死ぬ。村は非常に貧しく、年老いた者にまわせる食べ物がないからだ。楢山へ行くことを極楽詣りと思うには、相当な覚悟が必要であろう。

正月が来ると70になるおりん(田中絹代)は、その日を待ちわびていた。おりんは死を恐れるどころか、むしろ長く生きることを恥じている。信心深いというよりは、家族を思う一心だと思う。おりんは貧乏や禍から目をそらせるのではなく、それらを日々しっかりと見据えている。そうすれば、死をいたづらに恐れおののく態度は消えて、死を受け入れることが容易になるのだろうか。

おりんの村は哀しい。右を見ても左を見ても、不幸な人々がうめき声をあげている修羅場である。おりんも、その中にあって、不幸に身を染めているかのように見える。だが、たった一つだけ、かけがえのない宝が与えられていると思えてならない。「死ぬことがあまり怖くない」ということだ。おりんは進んで楢山詣りへ行く。「自分の望んでいることがかなえられること」が彼女の幸せなのだとしたら、ラスト、生き仏のように佇む姿も納得できる。

雪降る中、息子に背負われて山へ入っていくシーンでは、田中絹代さんの台詞はない。言葉では表現できない静謐さが、身ぶりや表情の一つ一つに漂っている。田中絹代は大した役者だと改めて思った。

タグ : 映画感想

14:45  |  映画  |  TB(2)  |  CM(4)  |  EDIT  |  Top↑

Comment

●木下監督

だいぶ以前に見たので、印象は薄れていますが、さすが、と思わせる映画ですね。
演出も、役者も、見ごたえがありました。
ボー | 2011.12.03(土) 19:26 | URL | コメント編集

●ボーさんへ

田中絹代さんは日本を代表する女優さんですね。
演出も一級で、芸術作品として見応え十分です。
こういう映画は戦前の貧しさを体験している世代にしか作れないような気がしました。
江戸後期か明治初頭の話だと思うのですが、時代の風景を写しとった秀作だと思いました。
マーちゃん | 2011.12.04(日) 09:51 | URL | コメント編集

●ご無沙汰しています。

昨日は、「坂の上の雲」に、コメントを頂戴し、ありがとうございました。

「楢山節考」は、今村昌平作品の方も「東北の神武たち」のテーマもミックスしたユニークな作品でしたが、木下恵介作品の方が、本格派としての薫りが漂うように思います。
田中絹代さんは、この映画出演のために、自分の前歯を敢然と抜いて、老婆の役に徹しきられた心意気に、尊敬の念が湧きます。
アスカパパ | 2011.12.08(木) 11:37 | URL | コメント編集

●アスカパパさんへ

お久しぶりに、こうしてアスカパパさんと、交流させていただき、大変嬉しく思っております。ありがとうございます。

「坂の上の雲」は原作もドラマも丹精して作られており、読む者見る者に感動を与えてくれますね。

今村昌平作品は、坂本 スミ子さんの大麻事件が影を落とし、ちょっと残念です。
一方、田中絹代さんは女優の品格と存在感を存分に発揮された演技でした。
前歯は今ならCGで処理できるのでしょうが、田中絹代さんは、それでも歯を抜くかもしれませんね。

久々に骨のある、本格的な映画を観賞しました。
マーちゃん | 2011.12.08(木) 14:56 | URL | コメント編集

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「楢山節考(1958年)」

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