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2012.01/19(Thu)

兄とその妹

今から73年前に作られた作品。当時の庶民の暮らしぶりが、本作で描かれているようなものであったのなら、「悪くない時代」だと思う。

大正浪漫の名残りを漂わせつつ、悠然としたペースで物語は進む。ホームドラマだが、小悪党の存在が適度の緊張感を生み、作品に起伏をもたせている。巧みな作りだ。

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オープニング。夜道を歩く間宮敬介(佐分利信)の靴音がコツコツと響く。カメラは間宮の足元を写し、道路が舗装されていることを強調する。靴音にカチカチという音が重なる。それは近所に住む男が氷をくだく音だった。消火用の水が凍ったのだろうか?古い時代と新しい時代の混在を端的に表す秀逸なシーンである。

重役の囲碁の相手をして帰ってきた敬介に風呂を進める妻のあき子(三宅邦子)。一介の勤め人の家に風呂があるのが意外。あき子は風邪気味にも拘わらず、健気に夫の世話をしている。同居している妹の文子(桑野通子)は、貿易会社に勤める先進的なOL。派手なコートに身を包み、満員電車にもまれて通勤している。快活な文子は兄と兄嫁の庇護の下、自由奔放に人生を歩んでいるように見受けられる。妻のあき子も幸せそう。一家の主、敬介はと言うと、仕事をそつなくこなし、実直さでもって上司や同僚の信頼を得ている。万事が順調に思われたのだが・・・・。

映画に出てくる小道具の一つ一つに目がいく。公開当時の人は、それらにモダンな都会生活を見たであろうが、今では懐かしい道具の数々である。生活雑貨の描写がとても細かい。ハタキでヤカンの埃を払う音、ほうきで床をはく音、湯気が上がる鍋は今にも吹きこぼれそう。これらの道具が間宮家の朝の風景を写しだす。火鉢も大活躍している。茶瓶の蒸気と熱は部屋を温め、湯は紅茶の葉に注がれる。火鉢で焼くトーストもオツ。朝の慌ただしさの中でかわされるたわいもない会話に、堅苦しい家長制度は感じられない。

清々しい光景が続く中、暗い影となる人物が登場する。本作敬介を快く思わない会社の同僚だ。上司に認められ、重役の碁の相手をつとめる敬介をねたみ、色々と画策する。順風満帆な生活に立ったさざ波は、やがて大きなうねりとなって一家を飲み込もうとする。重役の甥(上原謙)が敬介の妹に好意を持ったことも事態を悪くした。しかし、間宮家の人は互いを思いやることによって危機を乗り切る。そして、さっそうと新天地へ向かう。どんな状況にあっても、家族の絆があれば大丈夫。明るい未来が待っているだろう。小道具の見せ方、兄と妹の丁々発止渡り合う様・・・島津保次郎監督は足まわりのよい演出を貫いている。
17:21  |  映画  |  TB(1)  |  CM(4)  |  EDIT  |  Top↑

Comment

●こんばんは。

TBさせていただきました。
この時代を子供心に知っていますので懐かしい映画でした。
お若いマーちゃんにも、概ねご好評だったと拝察いたしました。
なんだか嬉しい気持ちです。
レビューに書き忘れたのですが、桑野通子が光っていました。
ascapapa | 2012.01.20(金) 20:17 | URL | コメント編集

●ascapapaさんへ

TB&コメントありがとうございます。

この映画もそうですが、山田洋次監督推薦の日本の名作100本・家族編がどれもこれも面白いです。「人情紙風船」「祇園の姉妹」「暖流」「紀ノ川」などなど・・・素晴らしい作品ばかりです。「紀ノ川」は若い頃に観たのですが、今の方が数段、心を動かされます。

ascapapaさんは邦画もたくさんご覧になってらっしゃいますが
私には、古い時代の邦画は未開の分野です。映画を観る楽しみが増えました。

桑野通子さん、キャピキャピしてて輝いてますね♪
マーちゃん | 2012.01.20(金) 22:07 | URL | コメント編集

佐分利信が、辞表をさっさと書き付け、気に食わないヤツを殴って会社を去るシーンは、勤め人なら誰しもやってみたい事ですね。

ホント、桑野通子さん。ステキでした。
でも31歳で亡くなるなんて・・・。
娘の桑野みゆきさんは引退しているし。
アラン・墨 | 2012.01.22(日) 23:07 | URL | コメント編集

●アラン・墨さんへ

佐分利信さん、ひょうひょうとしていただけに、殴るシーンが際立ちました。巧い演出ですよねー。殴られたアイツ、いやな奴でした。

桑野通子さんは31歳で亡くなってしまったのですか、それは残念です。
生きてらしたら、どんな女優さんになったのでしょうね・・・。

富士山を手にのせるシーンの愛らしさが心に残ります。良い女優さんですね。
マーちゃん | 2012.01.23(月) 11:24 | URL | コメント編集

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「リメイクは観ているが、オリジナルを観るのは初めてや。小学校低学年の頃の映画やもん」  「私が生まれて間もなくの頃だわ」 「この年、学校に持っていく弁当は麦入りご飯となっていた、毎日昼食前に...
2012/01/20(金) 20:02:43 | 八十路STUDIO

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