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2012.05/01(Tue)

お早よう

麻布をバックに『およう』のタイトルが出る。早の字だけ赤だ。明るく軽快な音楽に乗せてスタッフとキャストがクレジットされていく。所々が赤い字になっている。小津監督は赤が好きだなぁ。本編も赤色の小道具が画面を賑わせている。

大きな鉄塔の後ろに、数軒の平屋が向かい合うように並んで建っている。家と家の間は道路というより通路だ。お向かいさんとの距離は2メートルあるかどうか?通路を抜けると土手がある。ということは、川沿いの建て売り住宅だろう。土手を歩く子供たちが遠くに見える。続いて家と家の間を横切る女性、さらに土手に沿った道を歩く少年・・・パントマイム的な面白さをロングカメラで捉えている。皆、画面の左から現れ右へと消えていく。小津作品の通行人は、いつも一方通行だ(笑)。画面手前の雨戸の赤い丸、これはいったい何?正体不明の赤い丸と街灯の丸い環が対になり、幾何学的な構図を生む。

ohayou_3.jpg

土手の上の道を歌いながら歩いている4人の男の子。実、幸造、善一、実の弟の勇だ。彼らはオープニングに映し出された家々に住んでいる。子どもたちはおでこを押されるとオナラをするという遊びに興じている。誰にでもできる技ではないようだ。おでこを押された幸造の様子がおかしい。さては・・・。やっちゃったみたい(笑)。『生れてはみたけれど』の忍術みたいな遊びを思いだす。

ohayou_4.jpg

本作は小さなコミュニティに起こる、些細な出来事を面白可笑しく描いた喜劇である。婦人会の会費を組長(杉村春子)がネコババしたという噂が流れたり、押し売りの撃退方法が紹介されたり、定年まじかのサラリーマンの憂鬱だったり、西洋寝巻(笑)を着たカップルへの偏見だの、テレビを欲しがる子供の反抗だの・・・たあいもないエピソードの積み重ねによって、物語が構成されている。どれも深刻な問題ではなく、後になれば笑い話となる類のものばかり。小津監督が冗談半分で作ったとしか思えない(笑)。フィギュアスケートのエキシビションといったところか・・・。

ohayou_2.jpg

しかし、肩の力を抜いて作ったにしては、構図は厳格を極めている。揃いの服を着た兄と弟は同じ動きをし、飲屋で酒を酌み交わす男たちの動作もシンクロしている。色に関しては、『彼岸花』の時よりも、赤へのこだわりが強い。とりわけ、目を引くのは、各々の家に置かれている赤い鍋!飲屋にもあるという徹底ぶりだ。普段、私たちの生活の場に赤色は少ない。赤は警告の色で人に緊張感を与えるから。だが、小津監督は赤を好んで使っている。ゴミ箱の蓋、ジョーロ、電球のシェイド、タオル、ゴルフバック、靴下、マフラー、食器、ちゃぶ台、はたき・・・などなど。雨戸の謎の丸が赤いフラフープであることが、ラスト近くのショットでわかった。

ohayou_1.jpg

たあいない物語の中に、テーマらしきものを探るとすれば、人が人としてどう人と接すれば、平穏な毎日が送れるか・・・とういことかな。ある日のこと、実と弟の勇は、父親・啓太郎(笠智衆)に、男のくせに口数が多いと叱られる。これに対し兄弟は、手足をばたつかせ、精一杯の講義をする。その動きは『生れてはみたけれど』の兄弟が見せたものと同じだ。サイレント的な動きが笑いを生む。

「子供のくせに余計なことを言いすぎる、少し黙ってみろ」と言われ「大人だって余計なこといってるじゃないか、こんにちは・お早う・今晩は・いいお天気ですね・どちらへ・・・・」そんなやりとりの後、兄弟は誰とも口をきかなくなった。向いに住むきく江(杉村春子)から「お早う」と声をかけられても知らんぷり。すると、きく江は母親・民子(三宅邦子)がそう仕向けたと妄想し、近所に民子の悪口を言いふらす(笑)。たかが挨拶、されど挨拶。余計なおしゃべりがなくなったら世の中、味も素っ気もなくなってしまう。コミュニケーションの方法もさまざまだ。オナラもその一つ(?)。達人クラスになると、オナラで妻を呼びつける(笑)。「あんた、呼んだ?」

ohayou_5.jpg

その後、兄弟は念願のテレビを買ってもらい、機嫌を直す。映画は幸造のお漏らしパンツが、風にはためいているショットで幕を閉じる(爆)。いつになったら、技をマスターできるのかな?(笑)。ファイト~!

タグ : 小津安二郎

22:45  |  映画  |  TB(1)  |  CM(7)  |  EDIT  |  Top↑

Comment

●すごい小津三昧!

私も北鎌倉散策したいですね。
いや、あの辺に住みたい!。気候も温暖でうらやましいです。
マーちゃんの撮影もいいですね。「チボー家の人々」読みたくなりました。

「お早う」は軽い作品で見やすいですね。私も今夜、観直します。
たしか弟のほうは「浮雲」にも出ていた子だと思います。
アラン・墨 | 2012.05.02(水) 17:23 | URL | コメント編集

すみません。間違いました「浮草」でした。v-22
アラン・墨 | 2012.05.02(水) 17:27 | URL | コメント編集

●アラン・墨さんへ

凝り性なので、好きになったらトコトンです(笑)。
少し前には、小津さんの葬儀が行われた築地本願寺に行ってきました。

北鎌倉は渋くて大好きです。小津さんのお墓の直ぐ近くに、木下恵介監督のお墓もありました。

最近は写真の構図を考えています(←冗談ですよ)
「チボー家の人々」は、恥ずかしながら、読んでません(汗)。

あの子、「浮草」にも出てますか、今度チェックします!「浮草」と「浮雲」ややこしいですよね。
マーちゃん | 2012.05.02(水) 22:33 | URL | コメント編集

●コメントとTBありがとうございます。

よく観察されて居られるのに脱帽です。そんなに赤色がありましたか。赤は血の色。血の通った人間であれ。とでも言っているのでしょうか?。

フラフープは当家にもありました。そういえば平面的に嵩張りますので、何処かの壁面に立て掛けていましたね。

オナラを使うという、小津さんのとんでもない発想が見事に息吹いているのには感歎しました。
ascapapa | 2012.05.04(金) 15:24 | URL | コメント編集

●ascapapaさんへ

こちらこそ、ありがとうございます。
最近は小津映画の構図や色彩に興味が出てきました。美術品の味わいがあるのですよね。小津作品の小道具は、登場人物と同じくらいの存在感があります♪
小津さんが赤を好んだのは、血の通った温かみを感じたからなのかもしれませんね!

フラフープ、流行りましたね、私はあまり上手に回せませんでしたが(汗)。そうそう壁に立てかけてました。

小津さんは洒落っけがある人なので、オナラを題材にしたのでしょう。小津さんにかかれば、オナラも高尚な響きを放ちます(笑)。
マーちゃん | 2012.05.04(金) 22:21 | URL | コメント編集

●再見しました。

やはり、マーちゃんご指摘の通り、アグファカラーの赤や緑の色彩が独特でいいですね。それに昭和30年代初頭の家庭や茶の間の雰囲気が懐かしいです。私の子供のころもあんなふうでした。

↑のカットにカラフルな箪笥がありますね。あれ、友達の家にありました。昭和40年ごろです。東宝「世界大戦争」のフランキーさんの家庭にありました。

何度も観たいと思う映画ではなかったのですが、観直して山本監督も語ったように小津監督の傑作喜劇だと感じました。

うちのテレビは映画のナショナル製ではなく東芝の14インチでしたが、この映画と同じ昭和34年ごろから、なんと昭和46年まで使っていました。あの形はなつかしいです。

あ、言い忘れましたが、こちらのコメントでの右足の捻挫のお気遣いありがとうございます。まだ痛みはありますが、大事に至ってはいません。今日もバイクで走れました。
アラン・墨 | 2012.05.05(土) 23:39 | URL | コメント編集

●アラン・墨さんへ

カラーにも色々あるのですね。そして、赤にも種類があって、小津監督は赤色が綺麗に出るアグファカラーを採用したと、本に書いてありました。イーストマンカラーだと、きつい赤になってしまうそうです。

私の子どもの頃も、あんな感じでした。うちのテレビはナショナルだったと思います。(記憶が曖昧ですが)母が古い体質で、ナショナル至上主義者でしたから(笑)。アラン・墨さんの家のテレビは12年間も頑張ってくれましたか?!当時は壊れると、近くの電器屋さんに直してもらって、長く使ってましたよね。今は壊れたら、出張費が高かったりするので、買い換えてしまうことが多くなりました。

カラフルなタンスは他の小津作品にも出てきますね。お友達の家にもあったということは、当時、流行したのかもしれません。あのタンスの上に、同じような色彩のカラフルな小物が置いてあって笑えます。

痛みがまだあるのですか・・・。風が心地よい季節になりました。痛めた足に負担をかけないよう、バイクライフを楽しんでくださいね!
マーちゃん | 2012.05.06(日) 11:07 | URL | コメント編集

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          戦後の小津安二郎作品の中では「宗方姉妹」と共に未見だった「お早よう」を、奇しくも2日連続で観た。ひとりでDVDを。ふたりでTV放映を。 -------------------------------------- 【映画...
2012/05/04(金) 15:32:26 | 八十路STUDIO

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