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2012.04/27(Fri)

彼岸花

higannbana.jpg
小津監督の最初のカラー作品。アグファのカラーシステムで撮られている。これがどういったものなのか、よくは知らないが、オープニングにそうクレジッされていた。

東京駅の赤レンガの駅舎、そしてプラットホームが映し出される。新婚旅行に出かけるカップルを見た二人の駅員が「大安かな、新婚旅行随分行くじゃないか」「でも綺麗な嫁さんっていねえもんだな」と、花嫁の品評をおこなっている。

画面は東京ステーションホテルの窓から見たホームに切り替わった。フェード・イン、フェード・アウトを使わない小津監督は、シーンを移行させる際には風景のショットを挿入し、それによって場所の説明をおこなうことが多い。かすかに流れる「高砂」、カメラはホテルの披露宴会場を写す。来賓として佐分利信さん、北竜二さん、中村伸郎さんがいる(笑)。平山(佐分利信)が挨拶に立った。自分は見合い結婚だったから、恋愛結婚の新郎新婦が羨ましい・・・みたいなことを、ソツなくさらりと言っている。場面は小料理屋に移る。披露宴の後なのだろう、例の三人はモーニングのままだ。女将(高橋とよ)を巻き込んでのバカ話が面白い。

平山の家では、先に帰っきた妻の清子(田中絹代)が着物を片付けている。ここで目を引くのが調度品の配置。畳に置かれた赤いやかん、花瓶にいけられた赤いバラ、赤いテーブル。小津監督がアグファを採用したのは、渋い赤色を表現するためだったと聞く。本作ではいろいろな赤色が登場し、そのどれもが美しく発色し、ポップな画面を作り出している。赤とともに、緑も頻繁に顔を出す。会社の社員椅子、タクシーのボディ、干してあるタオル、廊下のバケツなど。女優陣の着物や帯、スカートにも注目してほしい。赤と緑のオンパレードだ(笑)。

物語はたあいない。平山にはそろそろ嫁にやらねばならない年頃の娘・紀子(有馬稲子)がいる。ある日のこと、一人の青年(佐田啓二)が会社にやってきて、会うなり、紀子さんと結婚したいと言い出した。谷口と名乗った青年は節子の同僚だ。広島への転勤が決まったので、立つ前に結婚の承諾をとりつけたいらしい。平山の顔が険しくなった。物分かりのよさそうな人間に見えた平山だが、いざ、身内のこととなると話は別みたいネ。人様の結婚式のスピーチでは、恋愛結婚がいいと言ってたのに(笑)。母親の清子はなんとか、仲を取り持とうとする。しかし、平山は頑なに反対し、認めようとしない。その様子がユーモアたっぷりに描かれているのだが、旅館の女将・初を演じた浪花千栄子さんが、抜群のコメディエンヌぶりを発揮しており、作品のもつ喜劇性を高めている。支離滅裂なおしゃべりからは、何が言いたいのかさっぱりわからない(笑)。

屁理屈をこね、駄々っ子のように反対する平山。見かねた初の娘・幸子(山本富士子)は策を弄して結婚話を進めてしまう。面白くない平山は、結婚式に出ないと言いだした。ここで、いつもは穏やかな妻の清子が語気を強めて意見する。「あなたはなんでもご自分の思うようにならないとお気にいらないのよ。あなたの言う事は矛盾だらけよ」。言いかえす言葉が見つからない平山は「矛盾がないのは神様だけだ、人生は矛盾だらけだ、矛盾の総和が人生だ」と居直った(笑)。まっ、結婚式には出席するのだけれど。。。その模様は描かれていない。節子の花嫁衣装のお披露目もなし。冒頭の結婚式シーンと被るからだろう。

結婚式を終えた平山は、蒲郡で開かれた中学のクラス会に出席する。小津映画の宴会に欠かせないのが歌。皆で合唱するパターンと笠さんの独唱パターンがある(笑)。本作では笠智衆さんが詩吟を披露している。皆に催促され「じゃ、やるか、ちょっと時代がずれとるぞ」と言ってから姿勢をただし「楠正行如意輪堂の壁板に辞世を書するの図に題す」と断りを入れ始まった。アハハ、いいなぁ。笑っちゃう。笠さんの詩吟を、神妙な顔で聞き入っている連中を見たら、余計に可笑しくなってきた。小津映画の風物詩ですな(笑)。続いて、中村伸朗さんが「青葉茂れる桜井の~♪」ときた(笑)。それから全員で合唱だ。心をひとつにして・・・というところか。クラス会の帰りに京都の初の旅館に寄った平山は、その足で広島の娘夫婦の所へいく。車中で「青葉茂れる桜井の~♪」と口ずさむ平山。わだかまりは解けたようだ。映画は列車が走りぬけていく映像で終わる。めでたし、めでたし。

タグ : 小津安二郎

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