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2012.06/23(Sat)

小早川家の秋

ネオンが明かりを灯し始め、夜の到来を告げる。バーのカウンターで、蝶ネクタイの男(森繁久彌)が女給相手に酒を飲んでいる。誰かを待っているようだ。店に入って来た男(加藤大介)に「なんや、君ひとりか」と不満そうに言った。待ち人は女性なのだろう。遅れてやってきた美人(原節子)を見て、鼻の下を伸ばす。ストーリーに関係のない森繁さんが、どうしてオープニングに出てきたのだろう?唐突な感じがする。宝塚映画で撮影したからかな?

さて映画。「小早川家の秋」と書いて「コハヤガワ」と読む。京都の造り酒屋の、今は隠居した老人の道楽物語である。演じるのは関西歌舞伎の中村鴈治郎さん。正直に言うと、私は鴈治郎さんが主役を務めた『浮草』があまり好きではない。(小津作品の中ではということ)旅役者に見えない中村雁治郎さんが、作品をダメにしたと勝手に思い、あの大きな顔に苦手意識を持った。だが、本作の中村鴈治郎さんは素晴らしい!!!娘に「なんじゃい」と、毒づく顔の可笑しいこと!『浮草』での悪い印象が吹き飛んだ。

kahayakawa_1.jpg

小早川家の当主・万兵衛(中村鴈治郎)は、店を娘婿に任せ、自分は好き勝手に生きている。最近は、いそいそと、何処かへ出かけていく。不審に思った大番頭(山茶花究)は番頭(藤木悠)に、万兵衛の後をつけさせた。向かった先は京都の、こじんまりした旅館だった。そこの女主人つね(浪花千栄子)は万兵衛の元妾。19年ぶりに会ったふたりは、老いらくの恋の花を咲かせる。つねの21才の娘は、万兵衛のことを「お父ちゃん」と呼んでいるが、親子かどうかは疑わしい。しかし、おつねも万兵衛も、そのことに頓着している風はない。今のふたりにとっては、どうでもいいことなのだろう(笑)。

kohayakawa_2.jpg

大番頭の報告を受けた長女の文子(新珠三千代)は、父親の放蕩ぶりが我慢できず、文句を言う。「昔、お母ちゃんを泣かしたようなことをもういっぺん、やんなはる気ですか!」そう娘に問い詰められると「なにがや、何のこっちゃい、わいを疑っとるのか、あほんだら」と、悪びれることなく言いかえす(笑)。反省してないんです、この老人。それも、わからないでもない。ちゃんと働いてきての今なのだから。

そんな万兵衛が心筋梗塞で倒れ、意識不明の危篤状態になる。心配する家族・・・。連絡を受けた東京に住む弟と名古屋の妹(杉村春子)もやってきて、今後のことなど話していると、万兵衛がフラリ、廊下に現れた!「よう寝たわ、ちょっとオシッコ」。呆気にとられている一同の横を、団扇であおぎながら通り過ぎていく(笑)。このシーンが抜群に可笑しい。いろいろあっても、万兵衛は周りの人間に愛されているのだ。

元気になった万兵衛は、凝りもせず、京都のつねこの元へ通う。孫とのかくれんぼ遊びに紛れて姿をくらますシーンも愉快。中村鴈治郎さんは、えもいわれぬ可笑しさを、体全体から発散している。あの歩き方(笑)。その後ろ姿に笑っていたら、とんでもないことが起こった。万兵衛が元妾の家で、再び発作して倒れてしまう。

次女(司葉子)と婿(小林桂樹)が、京都のつねの所へ駆け付けると、万兵衛は既に息を引きとっていた。つねは、万兵衛の体を団扇であおぎながら、最期の様子をたんたんと話す。枯れた悲しみが、微妙な心理の綾が、伝わってくる。遺言はなく「もうこれでしまいか、もうしまいか」と二度ほど言ったらしい。好き放題して、妾の家で死ぬ。らしいと言えばらしいのかな、幸せな人だと思う。しかし、死んでしまったら「しまい」だ。

本作には万兵衛の亡き長男の妻役で原節子さん、次女役で司葉子さんが出演し、並んで同じ動作を何度も見せる。しかし、本筋とは無関係な立場に置かれていて、存在は薄い。東宝系の映画ということで出演したのだろう。森繁久彌さんに至っては、もっと浮いており、出ない方がよかったのでは(汗)。キャスティングの問題はあるものの、愉快な映画だと思う。(主人公は亡くなってしまうけれど)あと、山茶花究さんの「ちゃうちゃう」が忘れられない(笑)。

タグ : 小津安二郎

09:30  |  映画  |  TB(0)  |  CM(2)  |  EDIT  |  Top↑

Comment

そうでした。この映画の雁治郎さん、「浮草」よりいい味だしていましたね。
オロナミンの浪花さんも。
それにしても大物役者、大女優のオンパレードです。小津監督の名声はすごいですね。
山茶花さんもウマイです。だけど小津監督には彼嫌われたみたいですよ。

「宗方姉妹」観直しましたが、「場合によっては酒を飲む」という例の英語は解説なんてありませんでしたね。私の勘違いでした。

高峰さんお芝居的会話が何度もあってちょっとグドく感じましたが顔は綺麗に撮っていました。
アラン・墨 | 2012.06.24(日) 18:03 | URL | コメント編集

●アラン・墨 さんへ

鴈治郎さんが、すっとぼけていて面白いです。市川崑監督の『ぼんち』でも、いい味を出してますね。
そうそう、浪花と言えば、オロナミン軟膏です(笑)。昨日、溝口監督の『山椒大夫』を見てたら、浪花さん、映画が始まって早々に舟から突き落とされて、画面からいなくなってしまいました(涙)。そんな~って思いましたよ。
山茶花さんは小津さんに嫌われたのですか・・・あらまぁ。。。

小津映画に出ることは、大変名誉なことだったのでしょうね。特に本作は、脈洛もなく、大物が我も我もと出ている感じです。森繁久彌さんはミスマッチです(汗)。

「宗方姉妹」に「場合によっては酒を飲む」の解説ありませんでしたか?私もあったような気がしてました(^.^)/~~~

高峰さんの映画は5日前に『二十四の瞳』を観ました。(たぶん、再見だと思います。)自転車に乗っている姿が可愛かったです♪
マーちゃん | 2012.06.24(日) 19:39 | URL | コメント編集

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