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2012.05/25(Fri)

ダーク・シャドウ

霧が立ち込めるリバプールの港に、幾艘かの船が停留している。時は18世紀の半ば、船首に施された魔除けの彫刻が時代を伝える。タラップを上っていく少年を見送る少女。横にいる女が「坊ちゃまの顔をみてはいけない、身分が違うのだから」と、少女をたしなめた。ティム・バートン監督らしい色彩世界で映画は幕を開ける。

それから何年か経った。少年一家は新天地のアメリカで成功を収め、バーナバス(ジョニー・デップ)は健やかに成長していた。不慮の事故で命を落とした両親の後を継ぎ、コリンズ家を束ねつつ、恋を重ねていくバーナバス。そんな彼のハートを射止めたのは、美しく清らかなジョゼット(ベラ・ヒースコート)だった。しかし、二人の愛は実ることなく散ってしまう。バーナバスに遊ばれ捨てられてたメイドのアンジェリーク(エヴァ・グリーン)が、実は魔女で、二人に呪いをかけたからだ。ジョゼットは、岸壁から海へ身を投げ、その後を追って死のうとしたバーナバスは、ヴァンパイアにされ棺の中で生かされ続ける。

dark.jpg

時はさらに流れ、舞台は1972年へと移る。ダークな世界から一転し、明るい空の下を列車が猛スピードで駆け抜けていく。200年の時の経過を色彩で表すのが心憎い。それは『バットマン』の闇黒でも、『マーズ・アタック』のキッチュでカラフルな世界でもない天然色の世界である。

ティム・バートン作品は『ビートルジュース』以降は全て観ている。どの作品にもバートン印が押されているのがいい。ティム・バートンは作家性の強い監督で、独自のこだわりをもって作品を作っている。こういう監督は失敗作が少ないように思う。模索しながら作品を作っていくタイプの監督ではなく、意表をつくイメージの飛躍は求められていないからだ。したがって、バートン調から外れた作品の評価が低くなるのはわかるとしても、今までの作品と比べ、本作が劣っているとする意見には承服しかねる。もっとも、バートン作が苦手な人や笑いを求めた人には、単調な映画と映ったことだろう。

darkshadow.jpg

ヴァンパイアのバーナバスは蘇る。彼曰く、黄色い鉄の爪を持った化け物(ショベルカーのこと)によって掘り起こされたらしい(笑)。バーナバスが人間だった頃、父親は「唯一の財産は家族」と言ってきかせていた。この教えは、ヴァンパイアになった今でも有効らしく、彼は、没落寸前の子孫を救うために奮戦する。だが、優しさは家族であるコリンズ家の人々と、かつての恋人と瓜二つのビクトリアにのみ、向けられており、他者には手厳しい。ヴァンパイアなのだから血を吸わなければいけない。自分を掘り出してくれた工事現場の作業員や、しみじみと人生を語り合ったヒッピーたちの首に、牙を食い込ませることに罪悪感はないようだ。ただし、血を吸うシーンはスピーディな場面展開によって残酷感が薄められている。

コリンズ家再興の最大の弊害は、バーナバスをヴァンパイアに変え、一族から繁栄を奪った魔女アンジェリークである。彼女は200年もの間、変わらぬ姿で生き続け、バーナバスへの恨みを心の奥にしまいこみ、街を牛耳ってきた。愛と憎しみは紙一重なのか、二律背反の思いが、彼女の心に芽生える。ヴァンパイアと魔女が激しくやり合うシーンは、アニメの暴力描写のようなもので、いかにもバートンらしく描かれている。バーナバスとの戦いに敗れ、ハートを差し出し涙するアンジェリークは、バートン監督が繰り返し描いてきた哀しきフリークスである。白塗りのバーナバスは異形ではあるが悲劇的は要素を持ち合わせてはいない。滑稽であっても、コリンズ家の人々に受け入れられ、ビクトリアとの愛を成就させるのだから。本作は奇妙なロマンスとペーソス、あるいはコメディが同居する、全く怖くないホラー作である。

タグ : 映画感想

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