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2012.07/03(Tue)

近頃なぜか岡本喜八

kihachi_2.jpg
岡本喜八監督に、ちょこっとハマッてます。この1週間で『独立愚連隊』(再見)、『独立愚連隊西へ』(再見)、『どぶ鼠作戦』、『江分利満氏の優雅な生活』、『血と砂』、『斬る』、『肉弾』(再見)、『近頃なぜかチャールストン』と、立て続けに観ました。『日本のいちばん長い日』のような、マジメな作品もありますが、フマジメな作品が多いのではないでしょうか。(全作品を観たわけではないので、断定できません)「キハっちゃん」ってどんな人なのかしら・・・と知りたくなり、岡本監督の発言をまとめた『マジメとフマジメの間』を読みました。面白かったですぅ。作った本人の意見ほど、説得力を持つものはないなぁと、感じ入った次第でございます。




私が観た「キハっちゃん」の映画は、どれも反戦、厭戦の思いがずっしりと込められています。ここまで、徹底的に一つのテーマを突き詰めた監督は珍しいのではないかしら。ご本人いわく「ささやかな戦争体験だったけど、私にとっては痛烈だったから、戦争にこだわっている」そうなのです。いやいや、ささやかな戦争体験ではなかったと思いますよ。開戦の日、十七歳だった監督は、二十一歳と六カ月の終戦の日まで、死神に追っかけまわされ、特に最後の、兵士としての八カ月は、栄養失調と、特攻訓練と、死への恐怖との闘いの日々だったのです。

士官学校の庭に250キロ爆弾が落っこって同窓の戦友の99%がハラワタをされけ出し、足や手をふっ飛ばし、頸動脈をぶった切られて死んだ。彼らの肉片をこびりつかせ、頭からドップリと血のりを浴びても生き永らえたという感覚は、監督の脳裏にしみついていたと思います。終わったから、早いこと忘れちまえよと肩を叩かれてもそうはいかないのですよ。生き永らえたから、「戦争はイヤダヨォーッ!」と絶叫することに意義を見出したということです。ただ、マジメな反戦映画は、小高いところに立った視野か、作中の兵士達と共に慟哭する心情が要る。涙は苦手だから、あの戦争を喜劇に仕立て、バカバカしさを笑い飛ばす映画を作ったと、おっしゃてます。「戦争は悲劇だった。しかも喜劇であった。」という監督の言葉の意味は重いです。

八路軍との壮絶な撃ち合いが物議をかもした『独立愚連隊』について。(以下抜粋)
政治的な良識の無さを朝日新聞夕刊で叩かれた。これについては「一言」もない。一言もないというのは、あの写真そもそもの発想が、戦争中スケソーダラと死神に追っかけられた一市民であり一兵士であった極めて弱者の私自身からふくれ上がっただけで、高邁な理念から出発したものではさらさらなかったからだ。首筋から噴水のように血をふき出し、或いはこぼれ落ちたハラワタを押し込みながら死んで行った同期候補生たちの中でふるえていた私には、戦争という奴は敵も味方も虫ケラの如く死んでいくもの、としか思えなかっただけだ。それをインディアンの大虐殺と解釈されたのはまことに残念だ。底流にしたつもりの、戦争ナンテオレモウイヤダヨ、という弱者の願いなんゾはどこへやら、いやそれどころかこともあろうに好戦映画のハンコを押されたのは何としても稚拙に過ぎる。独立愚連隊の兵士たちは、フマジメに戦っても、ニンゲンでありたい事をマジメに願って、願うの余りヤミクモに抵抗した愛すべき戦友たちだと思っている。

gurenntai_1.jpg

これを読んで、思わずヒザヲウチました!監督は嘆いています。「もうちょっとばかし丹念に見ていただきたい」ほんと、あの映画のどこが好戦的なのでしょう!あと、『血と砂』の評価が低すぎます。観ている時、ニ度ほど「あ~」と声をあげてしまいました。なんで、どうして・・・胸がつぶれる思いの「あ~」です。ラストの15分は涙で画面がよく見えませんでした。戦争映画で泣いたのは初めてです。戦争ナンテオレモウイヤダヨという、監督のメッセージ、しかと受け取りました。

gurenntai_2.jpg

『近頃なぜかチャールストン』に出てくる、戦争を経験した老人たちは、日本という国を信じてないんですよね。反体制の老人というのが、いかにも「キハっちゃん」らしい。『独立愚連隊西へ』は軍旗信仰を、とことん茶化した喜劇です。『どぶ鼠作戦』は西部劇、『斬る』はマカロニ・ウエスタンっぽいかな。『江分利満氏の優雅な生活』は川島雄三監督の企画だったのを、監督の死を受けて引きついたものです。戦中派江分利に、昭和の日本人の感慨を謳わせています。『肉弾』は、シュール過ぎてフマジメな印象を与えますが、ラストのあのワンショットによって痛烈な反戦映画となりました。どの作品からも、監督の思いが痛いほどに伝わってきます。それは岡本監督が、イデオロギーでなく、自分の脳裏に沁みついた感覚でもって、映画を作ったからでしょう。こういう風に戦争を描ける人は、もう現れないと思います。

タグ : 岡本喜八

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Comment

●「独立」再見しました。

面白さでは「西へ」のほうが上だと感じました。やはり当時としては破天荒な戦争映画ですね。
どちらの映画も「戦争なんてもうイヤダヨ」というメーセッジは私も感じました。
岡本監督作品では他に「江分利」と「日本の」を観ています。
「江分利」は柳原さんのアニメまで出てきてマジメな日本人にはフザケスギと感じた人もいるかもしれませんが、私は面白かったです。小林桂樹さんが適役でした。
あ、「ジャズ大名」観たいです。v-266
アラン・墨 | 2012.07.09(月) 09:48 | URL | コメント編集

●アラン・墨さんへ

私も『独立愚連隊西へ』の方が、面白いと思います。オープニんグに流れる「独立愚連隊マーチ」というのが、まず、可笑しいですね。軍旗のために命を落とすなんて、現代人の私には理解不能です。

ああいうのは、戦争を体験した人にしか出せない感じですよね。今の監督が「戦争なんてもうイヤダヨ」と言っても、説得力がないですもの。モデルのような体型のな役者さんに、兵隊をやらせても、悲壮感は伝わってこないんですよねー。

「江分利・・・」は、後半、大いに語ってましたね~。あの終わり方は面白かったです。トリスのアニメが所々に顔を出してました(笑)。サントリー色が随所に見られて楽しかったです。

「日本の・・・・」は唸りました。そう言えば、あの映画にも、学生の兵隊が出てきましたね。ズボンのポケットの文庫本に岡本監督の思いが込められていたように思います。

「ジャズ大名」は私も未見です。去年だったか、一昨年だったか、岡本監督の特集が組まれていて、その時に録画したものを、今回見なおしたのですが、残念ながら「ジャズ大名」はありませんでした。
マーちゃん | 2012.07.09(月) 12:44 | URL | コメント編集

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